榊さんと付き合ってから、
また他愛のない連絡のやり取りが始まった。
ただ、榊さんが私に対して敬語でなくなったこと、
そして…なんと言っても甘い言葉を言うようになったことが変わった。
『今まで気持ちを頑張って隠していたから』
そう言った榊さんの発言の意味が良くわかった。
榊さんは付き合ってから平日は毎日家まで送ってくれるようになった。
今の会社は大体定時で上がれるため、
18時には退社するので、
夜危なくないこと、榊さんの仕事が忙しいことを理由に断ろうとした。
しかし…、
『楓さんに朝会えなくなったので…、
その分夜会いたいんです。
…ダメですか?』
『仕事は帰ってからでも出来るのでね。
でもどうしても私が心配なら、
結婚してくれたらいつでも会えるので、無理しないのですが』
と言われるとなにも返せなかった。
ただ、榊さんは何も言わないが、
顔色があまり良くないような気がして、やはり無理しているのではないか不安だった。
「今週末どこか出掛けたいと思っているんだけど、どうかな?」
榊さんにそう提案されて嬉しかったが、このまま無理させてはいけない気がした。
「あの…どちらかの家でゆっくりしませんか?
そして良ければ私がご飯作ります」
榊さんには家でゆっくり休んでもらい、
いつも奢ってもらってばかりだったので、
その分のお返しがしたい。
「家か…」
榊さんは少し困ったようにもみえた。
ーどこか出掛けたいところでもあったのかな?
「ご都合悪いですか?」
「いや…楓さんの手料理食べてみたいし嬉しいよ。
では土曜日は俺の家で過ごそう。
お迎えに行くね」
先ほどの困った表情からいっぺん、
すぐにいつも通りの表情にもどった。
ー気のせいだったかな?
私は少し不安になりつつも、
榊さんに好き嫌いを聞いて、
何を作るのかに必死になっていた。


