偽りのお見合いだとバレたのに、溺愛されています


「実は昔マーケティングに関わる仕事に就いていたんです。
ただ平日はもちろん、休日も仕事三昧の職場で、体力も精神的にも限界になってしまい辞めたんです。」

私は半年前からシフトの都合の良い早朝コンビニバイトをしていること、
たまに午後は短期間バイトをしていることを伝えた。

「短期間バイトもいれると大変ではないですか?」

「いえ、たまになのでそこまでではありません。
お金に苦労しているわけではないのてすが、実家に仕送りもしているので、
少しでも足しになればと思いまして…」

「実家に仕送りですか…?」

「はい。うちは母子家庭で弟がいるんです。
母には心配かけると思って、まだ仕事を辞めたことは伝えてなくて…

まだ弟は学費がかかるので、
お願いされている訳ではないのですが、
仕送りをしています。」

ーこう話すと、やっぱり転職してフルタイムで働いた方が良いよなと、自分でも思ってしまう。

でも、まだその勇気がでない。

「楓さんは優しいんですね」

「え?」

「ご家族のことを思って仕送りするの、すごいと思います」

ー『榊さんに比べたら私なんて…』
と言い返しそうになったが、
榊さんが真剣にこちらを見て言ってくれていたので、
反論するのもおかしいなと思って言わなかった。

「それを言ったら榊さんも優しいですよね」

「私ですか?」

「はい。騙してしまった私をこうしてご飯に誘ってくれるのもそうですが、
毎日コンビニでお礼を言ってくれて、優しい人だなと思っていました」

「お礼なんて大したことじゃないですよ」

「いえ、言わない人が多いですよ」

「それは…いつも楓さんに元気を貰えていたというのもありますよ」

「え…?」