「――あざみ!」


少し、土手で寝転ぶには寒さが肌に突き刺さるようになった頃、あたしは5日振りのとーやの声を聞いた。


確か今日はとーやが修学旅行先の北海道から帰ってくる日。


あたしの名を呼ぶその声が、なんとなく弾んで聞こえた。