星空に願うと、甘い記憶が煌めく~あなたのそばに居たい~

「浅見君!」

座っていつもの真顔でいたのは浅見君だった。辺りを見渡すと数分だけなのに一気に暗くなり、星空が綺麗だ。
ってか、なんでこんなところにいるんだろう。

「たまたまこの辺に用があって、帰るのにこのバス停を使うから来たんだけど。」

不思議そうにしてる私に淡々と説明してくれる。なるほど。と納得していると、浅見君は小説を読まずに珍しく空を眺めている。星空と月は静かに輝いている。

「浅見君も星空好き?」
「うん。綺麗だよね。」

二人で星空を眺めているとバスが来たので乗る。席に着くと安達さんはなんで居たの?という目で見てくるので説明する。

「そっか。お疲れ様。あ、」

何かいいことを思いついたように少し口角を緩めて背負ってたカバンからノートを取り出す。そこには猫のイラストが書いてあった。

「これって!」

絵、上手だな!!あまりにも上手すぎて絵師さんが書いたのかと思った。なんでこんなに周りの人は絵が上手いのか?拝めることが出来て、頬が緩んで、疲れが一気に飛び肩の力が抜ける。下校中なため写真を撮ったりは出来ないので眺めさせてもらう。

「凄いね!上手!」
「良かった。前にイラストとか好きって言ってたから書いてみた。明日からも頑張ってね。」
「あ、ありがとう……!」

浅見君は私の頭に手を乗せて優しく撫でる。私好みな低音ボイスで癒される言葉を言われてさらに私好みな顔が目の前にある。キャパオーバーになって、心の声は叫んでいるので少し間、顔が熱かったけど何とか平然を装った。

「じゃあ、降りるね。」
「また明日。」

今日は疲れたけど浅見君と思いがけず出会えて、しかも癒しも貰ったから明日からも頑張れそう!


「あれ?昨日あんなに放課後練習で疲れてたのに今日は元気そうだね?」

教室に入りなるべく浮かれた気持ちを隠しながら席に着くと乃愛に捕まる。またか。そう思いながらも、そう?と何も触れないようにする。

「もしかして、例の彼といいことあったの?!」
「あー。ちょっと。」

私が何も答えずに逃げようとすると乃愛に手を掴まれる。しかも見た目に反してマッチョのような力。

「そもそも彼はどんな人なの?学校とか、好きなこととか!」
「浅見君は、」

そこで止まる。よく考えたら浅見君が謎が多くて自分の話をしてくれないのもあって、私も中々聞けず、浅見君のことをあまり知らない。好かれてるのか、嫌われてるのかも、他に比べる人がいないため分からない。

「え、知らないの?!何も?!」

乃愛はいつもでさえ大きい目をさらに見開いて顔の目の前まで乗り出してくる。

「え、えと、猫と小説が好き。っていうのは知ってるけど。それ以上は。」
「彼は、謎が多いの?」
「……うん。というか好かれているか、分からない。」
「ふーん。それなら、もっと……。」

私は乃愛にアドバイスをもらったので早速、明日に実践することにした。


「おはよう!」
「おはよう。」

次の日、バスに乗ると雨なのも相まってバス内は混んでいた。でも小説を読んでる浅見君の隣はあいてて座る。

「これ、浅見君の絵を見て私も書いてみた!……下手だけど。」

そう言って、浅見君の好きそうな柄の猫を書いた絵を見せた。浅見君はじっと見てこちらを見る。

「上手だね。僕より全然上手いよ。また僕も書いて見せるね。」
「うん!楽しみに待ってる!」
「……?」

話はせずにただ浅見君の顔を見ていることに気づいた浅見君は何か付いてる?と、こちらを見る。

「何でもない!」
「そう?」

浅見君は小説に目を戻した。これはうまく行ってるのか?乃愛に聞いた方法では、まず、お礼はきちんとするのはもちろん誰に対しても基本。そして顔をじっと見てどれくらい好かれているか反応を見る。好きだったら照れるし嫌いだったら嫌悪感を出すだろう。ってか、前から分かって居たけど、横顔がモデルのように美しい。そこでハッと思いだすが、本題の好かれてるか嫌われてるかは何も反応がないから正直分からないし、私を浅見君が見てないため私がただ、見つめてるだけになってる。

「安達さんも好き?」

安達君は顔を上げて目を合わせくる。好き?それって、どういう?雨の音が聞こえなくなるぐらい心臓の音が鳴り響く。

「え、」
「あ、これ。小説。」

あ、そういうこと!変に勘違いした自分が恥ずかしい。小説をあまり読んだことがない。と、小説についての話をしながら心臓を落ち着かせる。

「そっか。じゃあ、なんで見てたの?気になった?」

浅見君はまた目を見てきて私は逸らせない。正直に言うべきか?

「えと、その、あんまり浅見君が自分の話をしないから嫌われてるかな?って。」

言ってしまった!!本人に聞いても困らせるだけなのに聞いてしまった!顔が熱くなりながら目線を下げる。

「嫌ってないよ。僕、こういう性格なんだ。だから気にしないで。」

良かった。そう思う反面、浅見君が何でも話してくれる関係になりたいなと思った。雨は降っているけど私の心の中は晴天だった。


「ごめん!トイレ行ってくる!」
「了解!」

あれから数日後、浅見君は前とは変わらず自分の話はしない。でも嫌われてないと知り毎日、隣の席に座って、たまに世間話をしてる。そして今日は休日でいつものメンバーで遊びに来ている。

「あ。」

なんとたまたま浅見君を見つけてしまった。