星空に願うと、甘い記憶が煌めく~あなたのそばに居たい~

「美優香ー。意見ちょうだい?」

あの後、浅見君と話してバスから降りた。普段は前髪崩れてる。とか何気ないことを考えて学校に着くけど今日は浅見君と話したことで頭がいっぱいで、次はあの話をしよう。とか考えていた。乃愛は私が教室に入ると真っ先に駆け寄って来た。

「はいはい。」

浮き足立つ私はバレないように平然を装い乃愛と皆の元へ向かう。恋バナが苦手な透と、どちらでもない冬弥は二人で別の話をしていた。

「昨日さ、言ったでしょ?」
「ああ、生徒手帳の人ね?」
「うん。あのね。どうやって話しかけたらいいかまだ分からなくて。」

まだ悩んでいたの?!と叫びたくなる気持ちは抑えて、私も浅見君に話すのがそれぐらい緊張したなと思い飲み込む。ってか私の場合は恋か分からないけど。

「その人のしてることをよく見て、その人が気に入ってるものの話で話しかけてみたら?……例えばよく小説を読んでいるから栞。……とか。」

最後の方は浅見君のことを言っていて、様子を思い出しながら話す。栞のことまだ触れてないんだよね。

「何それ。超いいアイディアじゃん!ありがとう!」

実際に私がしたことを参考にしたとも、私が気になってる人がいるのもバレてないみたい。

「でも何が好きなのかな?」

考える人のように手を頭に当てている乃愛に見かねて私は浅見君との話をする。

「例えば、カバンの隙間から見えるキーホルダーとか、よくしている行動とか?」
「なるほど。他は?」
「落としたものをすぐに拾って渡してくれるぐらい優しい人なら勇気を出してきっかけを作って声をかける。とか?」
「ふむふむ。」

私は乃愛の参考になればと思い出す限りのことは話す。空中メモを取っていた乃愛はそこまで聞いて止まる。

「ねえ、これ、美優香の実話でしょ?!」
「え、えと。」

私は夏で暑いのにさらに汗があふれ出る。乃愛は、美優香がこんなにすらすら例え出ないでしょ!と喧嘩を買いそうな発言をする。けど私と乃愛の関係だから私は図星を食らうように感じる。

「それで!どんな相手なの!!」

恋バナ大好き乃愛にバレてしまった。皆に助けを求めるが皆それぞれ違う方を向いている。

「……捕まったな。」
「あれは離してくれないな。」

過去に透も気になる人が出来たときに乃愛に詰め寄られて大変そうだったのに助けてくれない。

「で?!」
「……。」


「なるほど。そんなに態度も見た目もイケメンな人がいたなんて!でも名前は聞いたことないな。」

私はバスで浅見君と話している時間より短い時間だったはずなのに話疲れた。

「ねえ。でも中学生は多いし、繋がりが薄いと知らない人も多いでしょ。」
「そうだね!また悩み事あったら聞くからね!!」
「まあ気になるだけだけど。」

独り言のように呟いた声を拾った乃愛はウインクをする。

「恋とは落ちるもの!!」

そんな乃愛の声が聞こえてきた。


「合唱の練習か。」

あれから毎日、浅見君の隣に座って登校すること数日。隣にいるだけで心地よいからあまり会話はしてない。浅見君は優しいけどあまり自分の事は自分からは語らない。でも眠くなるような雰囲気を私は気に入ってそばにいる。そんな中、ついに二回目の文化祭の練習が始まった。

「でね、合唱が難しい曲で、中々まとまらなくて放課後練習がありそうで怖いよ。」

合唱練習が始まって何日か経って、合唱以外も準備していて疲れていた。浅見君や友達と話している時があるのが救いだった。

「今日の練習は終わり!」

クラスの合唱練習をまとめている女の子が切り上げる。緊張感のあった静かな空気から解放されて皆、表情が戻っていき、それぞれ話し出す。

「いやー。さすがに疲れたね。」
「寝不足だな!」
「いや透の場合はゲームのしすぎでしょ?」

いつものメンバーが雑談しているが私は眠気から頭がボーっとする。今にも寝そうになりながら支度を始めてクラスの子に挨拶をして帰り道へ向かう。

「あー。三分前に出たんだ。」

眠気のあまり時計を見ずにバス停へ向かうと三分前に乗りたいバスが行ってしまったようだ。待つのは正直、嫌だけど、季節的に外でも大丈夫だからベンチに腰をかけて待つことにした。

「あー眠い。」

寝ないように薄暗い空を眺める。秋も始まり段々と暗くなる時間が早くなってきた。暗いのは怖い。でも少しだけ美しさもある。見ていると瞼が下がってくる。寝ちゃダメと思いながらもうとうとしながらも危ないから周りの音は聞いておく。すると誰かが歩いて近づいてくる音がして、その人は私の前で立ち止まって横に座る。バス待ちの人かな?と思ったけどあまりにも距離が近くて目を開けようか迷う。あ、でもこの匂いは。

「あ。起きた?」

目を開くと私が今一番話したいあの人が横に座っていた。