星空に願うと、甘い記憶が煌めく~あなたのそばに居たい~

「安達さん!おはよう!」

浅見君の記憶を取り戻した日の次の登校日。今までとは少し違う緊張をしながらバスに乗る。すると浅見君はすぐに気づいて手を振ってくれて、周りの人が惚れるほどの笑みを見せた。

「おはよう!」

久々に感じた恋する体の大騒ぎに今になると幸せだなと思う。なるべく普通を装って浅見君の隣のスペースへ座る。

「そういえば、最近春になって花も咲いてきたね。」

何を話したらいいか分からず猫のキーホルダーを見ているとまさかの浅見君から声をかけられる。

「あ、うん!そうだね!」
「ねえ、今度お花見行かない?」
「え!?」

付きあって初めてのデート?!固まっていると、浅見君は私が嫌だと思ったのか焦っている。

「あ、別に嫌だったら要と一緒でも。」
「ううん!……二人が、いい。」

まだ春にもなってないのに暑い。浅見君を見ると少しだけ頬を染めながら満足そうに笑っていた。


「綺麗だね!」

次の休み、二人で行くことになった。そういえば乃愛たちに話したら羨ましがられたな。浅見君はいつもより明るい色の服を着ていて春だなと思った。私も珍しく淡い色を着てみた。

「それにしても人多いね。あ、二手に分かれて食べ物買ってくる?」
「いいね!」

この日のためにお母さんにお願いして貰ったお小遣いを使う。いちごあめを買っていると、

「美優香だ!」
「乃愛?!」

来るかなとは思ったけど人多いしまさか出会うとは思わなかった。ルンルンで近寄ってきた。そういえば浅見君が記憶を取り戻したあと、学校へ行くと「生きてた!」と泣いて崩れ落ちてたな。それ以降更に笑顔が増えた気がする。

「皆は?」
「あっちで待ってるの!それより浅見君。みたいなー!」
「安達さん?」

乃愛と話していると浅見君が探しに来たみたい。振り返ると少し警戒したような顔で近寄ってくる。

「この子、私の友達で乃愛。こっちは浅見君。」
「はじめまして。」

挨拶をしあっていると乃愛が近寄ってくる。

「いや、美優香のドストライクじゃん。」
「あはは。」

当たりすぎて思わず苦笑いが漏れ出た。浅見君は不思議そうにしていたが、なんでもない。と言った。そして少し話すと邪魔しちゃ悪いよねと半分冗談で笑いながら去っていった。

「ごめんね。」
「大丈夫。明るい子だね。
……あれ?」

今度はなんだ?浅見君が気づいたようで見ている方を見ると、相川君がいた。

「伊織と安達さんじゃん!」
「相川君!」
「え、浅見君?!」

相川君の後ろから数人の友達が出てくる。この人たちは前とは違うけど浅見君大丈夫かな。

「浅見君だ!会えるなんて嬉しいよ!」
「ありがとう。」

でも前とは違って対応しているし怖がっていなさそう。浅見君が相川君以外と親しくしていたのを見たことないから胸にモヤがかかる。

「実はさ、記憶を取り戻した時に過去に忘れた子も思い出したみたいで誤ったら伊織に近づいてくる子が増えたんだよね。」

相川君が近寄ってきて説明をしてくれる。

「今話している子は?」
「その、傷ついた子。」

私は浅見君を見つめてからその子を見る。どう見ても恋してるよね。浅見君気づいてないけど。私はモヤモヤ溜まり思わず浅見君の手を引っ張る。

「……ごめんなさい。浅見君は私のなので。」
「安達さん?!」

私は手を引っ張って歩いていく。相川君にはまたねと言ってその場を去った。


「安達さんの怒らせるようなことしちゃった?」

人気の少ないところで私は立ち止まる。本当は景色を見て楽しい気持ちで終わりたかったのに。まあ誰のせいでもないけど。

「違う。……浅見君はまだあの子が好き?」
「あの子?ああ、さっきの?
いや。心配しなくても、
今は安達さんだよ。」

浅見君は連れてきた理由が分かったようで頭を撫でれてくれた。その優しさと自分の器の小ささに涙が出てくる。

「あまりにも浅見君が普通だから、不安になっちゃって。」

浅見君は私の手を引っ張って自分の胸に軽く当てる。私以上に心臓がうるさい。

「いつもこんな感じだよ。記憶が消えた時心がぽっかり空いてた気がした。でも思い出したらずっと安達さんのことを考えて、心臓もうるさい。これだけじゃ駄目?」

よく見ると顔が一番赤い。気のせいかと思ってたけどもしかしてずっとドキドキしていてくれた?

「あ、ありがとう。」

頭が爆発したぐらい全身熱い。急に鼓動が早くなったのがバレたくなくて手を引っ込めて後ろを向く。

「安達さんは?僕の事好き?」

後ろから不安そうな小さな声がする。浅見君の記憶が無くなったときのような私の声色と似ている。せっかく両想いになったんだ。不安にさせない。

「……す、
……」

勇気をだして振り返ったが浅見君の顔を見るとあの二文字が言えない。下を向いて考える。

「……今はここまでしかできないけどちゃんと大切に思っているから!」

ゆっくり浅見君の手を強く恋人繋ぎでをする。目を勇気を出してみると、浅見君は一度見開き、ふわっと花がほころぶように笑った。

「幸せだな。」
「……私も。」

強く握り返してくれた浅見君の体温を感じながら少しだけ咲いたピンク色の花を眺める。
浅見君の記憶が戻ってよかった。大切な人が私を覚えている。それは当たり前のようで当たり前ではない。この幸せを噛みしめていこう。

END