一気に張り詰めたような空気になった。ついに分かるんだ。深呼吸をしてゼロさんの方を向く。
「美優香さんは記憶力がとても優秀だ。だからそこを使おう。」
ゼロさんが言うには、とあるゼロさんが作った薬で私の浅見君との記憶を流す。もちろん私視点のため、記憶を流すのが目的ではなく浅見君が記憶を取り戻すためのきっかけみたいなものらしい。
「でも正直普通の人だと、過去の事を鮮明に覚えていないのと相当疲れるから耐えられないんだ。」
ゼロさんは暗い店内でも分かるぐらい実験ができる喜びを表していて、私から見ると嫌な予感がする表情だ。そんなに危険なのやって大丈夫!?
「だからカウンセリングをしたんだよ。耐えられるか。」
また思考読まれたよ。本当にこの人の前では気を付けないと。気を張っているとゼロさんは浅見君の記憶を取り戻す薬の注意点を説明してくる。
「どうする?やる?」
正直怖い。さっきゼロさんから聞いたのは、「失敗したら二度と記憶が戻らないこと」「条件を守らないと発動しないこと」など、怖いけどやるしか。
「あ、最後に言い忘れてたけどものすごく低確率だけど最悪の場合二人ともこの世から居なくなってしまう。」
「え?!」
それはまた話が変わってくる。仕方ないというと違うけど、私は知っているし望んでやるから嫌だったらやめるってできるけど浅見君は勝手に私にされて知らぬまま亡くなるかもしれないってことでしょ?それは怖すぎる。
「まあ、悩むのは後で、取り合えず薬の説明と条件について話すね。」
ゼロさんの話では、まず二人きりで行うこと、場所は指定されたところ、時間は夜で、星空が見えるところ。聞くと中々難しい条件だがそうしないとこの薬は効果ないみたい。
「一応、二人の思い出の品、猫のキャラクターだっけ?それは持っていておいて。多少、効果が上がるから。」
「……分かりました。」
唾を飲み込み手に汗をかきながら頷くとゼロさんはカバンから青い不気味な液体が入った小瓶を取り出す。
「まあ、よく考えて使ってね。」
私の手に渡してくる。震える手で受け取るとゼロさんは私の手を握って大丈夫。と声をかけてくれた。
「もし要らなかったら普通に捨ててね!支障はないから。ただ誰にもかけずに捨てて。」
「ありがとうございます。あ、お金でもいいですか?値段は、」
重要なことを教えてくれたから、お金でいいのか分からないし、中学生だから大金は持ってないけど一応財布を出す。するとセロさんは手を振った。
「いい、いい。美優香さんの記憶見れただけで楽しかったし、僕もいい実験できたし。」
ゼロさんは顔をクシャッとして初めて見る笑みを見せていた。なんか私まで明るくなるような表情。本当はお礼をしたい。でも受け取ってくれなさそう。なら。
「じゃあ、また実験に使ってください!今日はありがとうございました!」
私は受け取った小瓶を大切にカバンに入れてお辞儀をしてから店を出た。空を見上げると雲一つな青空だった。
「いやー。美優香さんは面白い子だね。冬弥君が気に入るのも分かるよ。」
「ですよね。あの記憶力、僕も大好きです。」
「それに、思考を読まれて離れていかないのも冬弥君と美優香さんだけだね。どうか幸せになってください。」
「ただいま。」
「おかえり。あら、暑かった?汗かいてるわよ。」
家に帰るとたまたまいたお母さんに心配されるが、暑かったわけでも、走ったわけでもない。この薬を使うか迷っていると冷や汗が出てきた。少し走って来たと嘘をついて自分の部屋へ向かう。
「さて、どうしよう。」
正直、今すぐにでも薬を使いたい。浅見君と話したいし、また頭を撫でてほしい。分かっている。ただの私の勝手な願い。だって記憶が無くなるってことは浅見君が、もしくは本能が私を好きでいてはいけない。もしかしたらそう言ってるかもしれない。それにゼロさんから聞いた、失敗した場合。浅見君も一緒に道連れにするのだけは避けたい。理由は、浅見君にも大切な人がいるんだ。たとえ、友達が少なくても、相川君、ご両親、昔の友達、など。私が想像できるのはこの人たちぐらいだが実際にはもっといるだろう。その人達も悲しませるし、そもそも私の願いだけで浅見君の人生は終わらせたくない。
「まだ、迷うな。」
その日は頭がフル回転な中、眠気に抗えず眠りに着いた。
「美優香!冬弥から聞いたけどいいことあったんでしょ?」
教室に着くと乃愛は周りのクラスメイト達が思わず見てしまうほどの笑みを見せる。冬弥はどこまで話したんだろう。
「浅見君の記憶を取り戻す方法を知ったって言ってたよ!」
冬弥の顔を見るとほぼ無表情だが薬の話やゼロさんの話はしない方がよさそうだ。
「まあね。進んだけど最後の勇気が出なくて。少しデメリットがあって。」
私が顔を覆っていると乃愛は柔らかい女の子らしい手で私の手を握っている。手をどかされて目が合う。丸くて大きくて綺麗な茶色の瞳。
「よく見たらクマが凄いね。寝れてないんでしょ。大丈夫だよ。もちろん、浅見君を知らないから美優香がどんな選択をしても私たちは責めない。でも美優香が後悔しない選択をしてほしいの。もし記憶を取り戻さなくて死ぬまで後悔するのとどっちがいい?美優香には幸せでいてほしいし。
本当は浅見君を知らないから私たちはやめなって言いたいけど美優香は違うでしょ?」
乃愛の真剣な目を見ていると脳内で浅見君が流れる。
「……もう少し悩んでみる。」
「うん!!」
乃愛は潤んでいると思う瞳でニコッと笑みを見せた。
「美優香さんは記憶力がとても優秀だ。だからそこを使おう。」
ゼロさんが言うには、とあるゼロさんが作った薬で私の浅見君との記憶を流す。もちろん私視点のため、記憶を流すのが目的ではなく浅見君が記憶を取り戻すためのきっかけみたいなものらしい。
「でも正直普通の人だと、過去の事を鮮明に覚えていないのと相当疲れるから耐えられないんだ。」
ゼロさんは暗い店内でも分かるぐらい実験ができる喜びを表していて、私から見ると嫌な予感がする表情だ。そんなに危険なのやって大丈夫!?
「だからカウンセリングをしたんだよ。耐えられるか。」
また思考読まれたよ。本当にこの人の前では気を付けないと。気を張っているとゼロさんは浅見君の記憶を取り戻す薬の注意点を説明してくる。
「どうする?やる?」
正直怖い。さっきゼロさんから聞いたのは、「失敗したら二度と記憶が戻らないこと」「条件を守らないと発動しないこと」など、怖いけどやるしか。
「あ、最後に言い忘れてたけどものすごく低確率だけど最悪の場合二人ともこの世から居なくなってしまう。」
「え?!」
それはまた話が変わってくる。仕方ないというと違うけど、私は知っているし望んでやるから嫌だったらやめるってできるけど浅見君は勝手に私にされて知らぬまま亡くなるかもしれないってことでしょ?それは怖すぎる。
「まあ、悩むのは後で、取り合えず薬の説明と条件について話すね。」
ゼロさんの話では、まず二人きりで行うこと、場所は指定されたところ、時間は夜で、星空が見えるところ。聞くと中々難しい条件だがそうしないとこの薬は効果ないみたい。
「一応、二人の思い出の品、猫のキャラクターだっけ?それは持っていておいて。多少、効果が上がるから。」
「……分かりました。」
唾を飲み込み手に汗をかきながら頷くとゼロさんはカバンから青い不気味な液体が入った小瓶を取り出す。
「まあ、よく考えて使ってね。」
私の手に渡してくる。震える手で受け取るとゼロさんは私の手を握って大丈夫。と声をかけてくれた。
「もし要らなかったら普通に捨ててね!支障はないから。ただ誰にもかけずに捨てて。」
「ありがとうございます。あ、お金でもいいですか?値段は、」
重要なことを教えてくれたから、お金でいいのか分からないし、中学生だから大金は持ってないけど一応財布を出す。するとセロさんは手を振った。
「いい、いい。美優香さんの記憶見れただけで楽しかったし、僕もいい実験できたし。」
ゼロさんは顔をクシャッとして初めて見る笑みを見せていた。なんか私まで明るくなるような表情。本当はお礼をしたい。でも受け取ってくれなさそう。なら。
「じゃあ、また実験に使ってください!今日はありがとうございました!」
私は受け取った小瓶を大切にカバンに入れてお辞儀をしてから店を出た。空を見上げると雲一つな青空だった。
「いやー。美優香さんは面白い子だね。冬弥君が気に入るのも分かるよ。」
「ですよね。あの記憶力、僕も大好きです。」
「それに、思考を読まれて離れていかないのも冬弥君と美優香さんだけだね。どうか幸せになってください。」
「ただいま。」
「おかえり。あら、暑かった?汗かいてるわよ。」
家に帰るとたまたまいたお母さんに心配されるが、暑かったわけでも、走ったわけでもない。この薬を使うか迷っていると冷や汗が出てきた。少し走って来たと嘘をついて自分の部屋へ向かう。
「さて、どうしよう。」
正直、今すぐにでも薬を使いたい。浅見君と話したいし、また頭を撫でてほしい。分かっている。ただの私の勝手な願い。だって記憶が無くなるってことは浅見君が、もしくは本能が私を好きでいてはいけない。もしかしたらそう言ってるかもしれない。それにゼロさんから聞いた、失敗した場合。浅見君も一緒に道連れにするのだけは避けたい。理由は、浅見君にも大切な人がいるんだ。たとえ、友達が少なくても、相川君、ご両親、昔の友達、など。私が想像できるのはこの人たちぐらいだが実際にはもっといるだろう。その人達も悲しませるし、そもそも私の願いだけで浅見君の人生は終わらせたくない。
「まだ、迷うな。」
その日は頭がフル回転な中、眠気に抗えず眠りに着いた。
「美優香!冬弥から聞いたけどいいことあったんでしょ?」
教室に着くと乃愛は周りのクラスメイト達が思わず見てしまうほどの笑みを見せる。冬弥はどこまで話したんだろう。
「浅見君の記憶を取り戻す方法を知ったって言ってたよ!」
冬弥の顔を見るとほぼ無表情だが薬の話やゼロさんの話はしない方がよさそうだ。
「まあね。進んだけど最後の勇気が出なくて。少しデメリットがあって。」
私が顔を覆っていると乃愛は柔らかい女の子らしい手で私の手を握っている。手をどかされて目が合う。丸くて大きくて綺麗な茶色の瞳。
「よく見たらクマが凄いね。寝れてないんでしょ。大丈夫だよ。もちろん、浅見君を知らないから美優香がどんな選択をしても私たちは責めない。でも美優香が後悔しない選択をしてほしいの。もし記憶を取り戻さなくて死ぬまで後悔するのとどっちがいい?美優香には幸せでいてほしいし。
本当は浅見君を知らないから私たちはやめなって言いたいけど美優香は違うでしょ?」
乃愛の真剣な目を見ていると脳内で浅見君が流れる。
「……もう少し悩んでみる。」
「うん!!」
乃愛は潤んでいると思う瞳でニコッと笑みを見せた。


