星空に願うと、甘い記憶が煌めく~あなたのそばに居たい~

夏休みが明けたが、まだまだ残暑がある今日。登校中にいる同じ学年くらいの子も暑そうだし、毎回乗るバスは涼しくて酷暑から開放される。
教室へ一歩、足を踏み入れると、明るい友達が出迎えてくれる。
私、安達 美優香(あだち みゆか)は中学二年生。勉強も運動も普通ぐらいの私は、二つあげるなら一つ目は人間関係に恵まれているのと、
二つ目は可愛いもの好き!それもとある猫のキャラクターが好きで、結構ネットを漁ってて、特にイラストが好きなのが特徴かな(でも私はあまり絵が上手くないんだよね。)!そしてその取り柄通り、友達は皆、明るくて優しい。特定の子と絡むことが多いけど、もちろん、いろんな子とも話したりする。

「聞いてー!今日ね超イケメンな人に生徒手帳拾ってもらったの!」

私に近寄ってきて手を握り飛び跳ねながら黄色い悲鳴のように伝えてくるのは、仲のいい友達の一人の乃愛(のあ)。乃愛は見た目も可愛い女の子でふわふわしていて中身も乙女。恋バナが大好き。

「はいはい。昨日は別の人がかっこいいって言ってなかったか?」

横から投げやりをするのは(とおる)。彼は皆をまとめるリーダータイプ。

「うるさい!
ね!かっこよかったよね!!」
「まあそうだね。結構イケメンだった。」

乃愛が助けを求めるのは、日和(ひより)。彼女は男になりたいわけではないが、かわいいより、綺麗系。性格もイケメンで普通の男の子よりもかっこよくて、王子様とも呼ばれている。特に乃愛と仲が良い。

「はあ。乃愛は惚れやすいから困った。な。」
「そう言って、透は乃愛が離れていくのが寂しいんだろ?」
「は?!何言ってんだよ!」

透の気持ちの真相をついていそうな言葉を放つのは冬弥(とうや)。彼はミステリアスでたまに本音を当ててくる、少し扱いにくい。私含めて5人が大体いつものメンバーで、毎日楽しく過ごしている。

「で、生徒手帳拾われたの?」
「うん!たまに見かけてて、かっこいい人だね!って日和と話してたの!でもまさか話せる日が来るなんて!」

私が聞くと顔を輝かせて恋する乙女のように話している。

「でも、逃げたけどね。」

日和はわざと大きな声で説明する。乃愛は顔を真っ赤にして言葉に詰まり、何も話さずに逃げたらしい。しょげていると日和が連絡先を交換しておいてくれたらしい。それを聞いた乃愛は音を出さずに悲鳴を上げていた。

「美優香も運命の出会いがあるといいね!よく見てるといい事あるかもよ!」

乃愛に背中を叩かれた。まるで私が恋してなくて可哀そうみたいじゃん。まあ、現に好きな人も、恋もしてないけど。でも今は友達でいいかな。


「ご乗車ありがとうございます。」
「ああー。涼しい。」

本当にもう夏終わってもいいのにまだこんなに暑いなんて。日本はいつか二季になりそうで怖い。今日は空いてるな。ああ、雨が降ってないからかな?雨だとバス、混むんだよね。席に着いて窓の外の景色を見ようとして止まる。

『よく見てるといい事あるかもよ!』

乃愛の言葉が脳裏をよぎり、どうせ暇だし。と思い辺りを見渡す。

「あ、」

小説を読んでいて表情はあまりよく見えないが怖そうで、制服を着た男の子。でも顔は整ってそうだな。しかも、栞が折り紙で作られていて、シールが貼ってある。遠くて何のシールか分からないけど。チラッと見えるカバンからキーホルダーが見える。目を凝らして確認すると、私の好きなアニメのグッズで、しかも私の推しキャラ!思わず大声を出しそうになって理性で抑える。あのキャラ好きな人少ないんだよね。

「あ、降りなきゃ!」

話しかけたい衝動と戦い、気が付けば降りる駅になっていた。私は仕方なく降りた。

「おは!」

皆が挨拶している中、私は頭の中はあの男の子でいっぱいだった。制服だけではどこの学校か分からない。高校生かな?とそれとも同じ中学生かな?

「美優香さーん?」

気が付くと自分の席に座って何もせずに居た。様子の違和感を感じたのか、皆、目の前にいて乃愛が私の顔の前で手を振っていた。

「あ、ごめんね。なんだっけ?」
「なになに!なんかあった?」

乃愛は恋バナとでも思ったのか乗り気で膝をついて目線を合わせる。

「いや、美優香だぞ?しかも昨日まで興味なさそうだし。どうせ変なものでも食べたんだろ?」
「いえ!恋とは落ちるもの!毎日変わっていくのよ!
で?どうなの?!」

このことを話そうか口を開くが、まだ気になる子がいるってだけで悩みかも分からないし、落ちもないし。

「……気が向いたら話すよ。
ってか、透?変なものなんか食べてないんですけど?どういうイメージで?」

私はいつも通り、気持ちを切り替えて明るく透に絡んでいく。乃愛は恋の予感!とニヤニヤしていた。


それから数日間、毎日あの男の子は居た。でもいつも友達もおらず、小説を読んでいて、どんな子かは分からない。だが今日は違った。珍しく土曜授業で憂鬱で。でもあの男の子も居たから少しだけ気分が上がって見ていると、

「あれ?」

いつも私より後に降りるのに、席から立った。そして、

「……。」

何か言ってるのは分かるが近くにいた人の会話でかき消されてしまう。目線の先には辛そうな妊婦さんがいた。

「いいんですか?」

男の子は頷いて、譲っていた。こんな優しいところもあるんだ。実は優しい人なのかな?今改めて顔を見たがやっぱりイケメンだな。そう思っていると、目が一瞬だけあう。慌てて私は目を逸らす。びっくりした。綺麗なガラス玉すぎていつも見ていたことがバレそうで焦った。この距離感でいいや。だってもう一度見つめられたら。
そう思っていたのに。