星空に願うと、甘い記憶が煌めく~あなたのそばに居たい~

「相川君は知ってるんでしょ。
浅見君が私のことを忘れたのも、

過去に同じことが起きたことも。」

相川君は目を閉じて深呼吸をしている。もしかして理由を知っている?眉間のしわを揉んで目を開く。

「……知っている。」

やっぱり。多分、浅見君の一番近くにいるのが相川君だよね。

「今度こそは伊織も幸せになるんじゃないかと思って居たんだ。それで何も言わなかった。」

だからたまに相川君と浅見君の雰囲気が違ったのか。相川君はこうなることもすべて分かっていた。それでも私に期待していてくれた。

「最近、伊織から安達さんの話を聞かないのも、数日前にとうとう「誰?」って言ってきたときに分かった。俺が何も言わなかったばかりに。……ごめん。」
「相川君が謝ることじゃない。それで理由って分かる?」

相川君はまた頭を抱えていた。言ってもいいのか迷っているみたい。

「……本当は友達として言ってもいいのか分からない。でももしかしたら記憶が戻るきっかけになるかもしれないから言うな。

……伊織が恋をした。だと思う。」

相川君は耳元でこそっと言ってきた。私は空いた口がふさがらない。確かに順調だった。でも本当に好かれていたなんて。

「安達さん覚えてない?伊織が記憶をなくす前日。相談があるって言われなかった?」

そこで私は思い出して、点がつながった。浅見君が確か相談があると言っていたのに次の日には忘れていた。それってもしかして。

「……告白?」

私はぼたぼたと涙をこぼして、周りに人がいるから泣いてるのがバレないように顔を手で覆った。相川君は背中を何度か優しく叩いてくれた。もし浅見君の記憶が無くならなかったら、こんな崩れ落ちる気分にもならないし、元を言えば両想いになって、今頃どうやって手を繋ごう!とか女の子らしいことをしていたはずなのに。


「過去に浅見君の記憶が無くなった女の子はどうしたの?」

少しの間泣いたけど泣いてるだけではどうにもならない。と擦り減った心を何とか動かして相川君に質問していく。

「……ショックを受けて今では話さないよ。でも学年中に二人の話題は広まって、なんで好きなふりをして急に冷めたくしたんだ。いじめ?と言われて、その女の子を守って、浅見に冷たい態度をするのが一定の期間あった。もちろん浅見は知らないし、本当に忘れてただけだから俺も最初は驚いた。そしてその結果、浅見は塞ぎこんでしまって、今では話すのは俺ぐらい。」

だからさっきの人達も、浅見君が自分の話をしないのも、友達多くていいなって言ったのも全部そこが原因だったんだ。

「記憶の戻し方って知っている?わけないよね。」
「……分からないな。」

相川君は分からないよね。分かっていたら女の子にも同じことしていたはずだし。

「あ、やばい。今日、予定があるんだった!」

そうなの?!知らなかった。急に現れて引き留めて悪い事したな。

「え、本当!?ごめんね。じゃあ、また、」
「明日、会える?十時に駅集合で!」

本当は明日休みだから会いたいけどと思っていたら、相川君から誘ってくれた。手で丸を表現すると走って去っていった。


「こっち!」

次の日、やることあって、時間ギリギリに何とか駅に着くと相川君はラフな格好で待っていた。私もデートではないのでシンプルだけど一応ワンピースで来た。会って早々に相川君は忘れるからと新しい連絡先のQRコードを見せてくれて交換した。

「じゃあ、どうしようか。」

今日はお金もあまりかからないカラオケに来た。正直男の子と二人でとは中々ないけど、私たちの関係性では心配する必要がない。部屋に入ると、歌は歌わずに作戦会議だ。

「私、実はさっき集まる前に図書館に寄ってきて記憶関係の本借りてきたよ。」
「お!ナイス!俺は携帯で調べようかな。」

そうして二人で延々と文字とにらめっこしていた。

「ブルブル。」
「はい。……はい。分かりました。出ます。」

部屋にある電話が鳴り相川君が出るとそろそろ退出時間のようだ。

「もうそんなに経った?」
「ね。」

二人で時間の早さに驚いた。でも何一つ有力情報がないどころか、難しすぎた。脳の処理、どうのこうのと、完全に医療系になってしまった。

「これ見たら行こうか。あ、これなんだろ。」

相川君がスマホで見ていたのは、記憶のプロがいて、なんでも日常の困りごとをアドバイスしてくれるらしい。

「でも怪しいね。」
「そうだね。」

アドバイス。何かが引っかかる。アドバイス……。


「あ!!」

答えが出るかは分からないけれど一度、頼ってみよう!

「なんかいい事思いついた?」
「うーん。可能性は低いけどね。」

私はスマホを開き冬弥とのメッセージ画面を開き、とある文章を送った。