星空に願うと、甘い記憶が煌めく~あなたのそばに居たい~

浅見君がなんでこんな反応をしたのか分からないけれど、とりあえず答える。

「え、えと私は。」

ふざけてるようには見えないが何かしら理由があるのかと思い名前を告げようとした瞬間。

「!」
「大丈夫?!」

またこの最近のように頭痛が起きたみたいでうずくまってしまった。それも今までで一番強そうだ。今の彼に触れてもいいのか不安になり何もできない。

「……ごめんなさい。一人にして。」

あまりにも赤の他人のような表情にさすがに冗談ではないと気づき、吐く息のような声で返事をして久しぶりに浅見君と出会う前の席に座った。


「ああ。」

バスにいる間、浅見君を見ることもできず、とにかく涙がこぼれないように必死だった。急に降って来た雪を傘を差さずに浴びながら吐くとできる白い息をただ見つめて、頬を伝う涙をそのままにする。
なんであんな対応されたんだろう。浅見君はあんな傷つけるような冗談は言わないし、最近の様子を見ても本当だろう。

本当に私を忘れたのかな。

信じたくない思考が頭をよぎるが無視する。だって急に私だけ忘れるなんてあり得ないじゃん!……あり得ない、よね。


「美優香!良かった!」

雪をただボーっと見つめて葛藤していたら、結構時間が経っていたみたいで、気が付いたら一時間目が始まっていたようだ。学校に着くと教室に向かうまで誰にも会わず、入ると、乃愛が半泣きで抱き着いてきた。

「安達さん!何かあったんですか?学校に来ないから保護者の方に電話したら家は出ていた。と言っていたので心配でした。」
「……すみません、少しボーっとしていて。」

私は普段、校則や時間やルールは守るから先生も乃愛も驚いたのだろう。申し訳ないがさっき雪を見ていた時間のおかげで、涙は溢れなさそう。

「美優香。何があったの?」
「……授業の準備しなきゃだよね。」

回らない頭で持ってきた荷物を片付けて再開した授業を受けた。


「次は、体育だね!寒いから嫌だな!」
「まあ、雪降ったから体育館。なのはいいけど、きっと体育館のほうが外より寒いよね。」

乃愛と日和が話しているのを聞きながら明日からどうやって浅見君に声をかけるか考える。なんとなく頬が熱いのはなぜだろう。浅見君のことを考えているから?

「美優香、何があったの?」

体育が始まってグループ対決のため、違うグループだけど待ち時間が一緒な冬弥と、同じグループの乃愛が一緒にいて、ついに乃愛が話しかけに来た。そして冬弥は相変わらず後ろから見守っていた。

「……何でもないよ。雪がきれいだなと思ってただけ。」
「……そう。でも大丈夫って顔してないよ。今にも泣きそう。」

心配してきた乃愛の頭を撫でて、次行かなきゃ。と立ち上がろうとした時、

「きゃー!」

視界が歪んでバランスが取れずにいると温かいものが触れる感触と乃愛の悲鳴が聞こえる。

「……少し休みな。」

眠りにつけそうな優しい声がした。

目を覚ますと、白い天井を見ていた。ゆっくり体を起こすと頭がズキズキして体が熱くて重い。辺りを見渡すと保健室のようだ。

「起きましたか?」

起き上がった音に気づいたのか、保健室の先生が、驚かせないように優しい声色で様子を見に来た。話を聞くと、熱が出て倒れてしまったようだ。そして冬弥が抱き上げて連れてきてくれたようだ。なので起きたから今からお母さんに連絡して早退しようと言われた。
冬弥は?と思い先生に聞こうとした時、

「まだ熱下がってない?」

ガラッと保健室の扉が開いて誰かが、近寄ってくる音がして先生に声をかけて、先生がカーテンを開けると、冬弥が入ってくる。体操服から着替えて制服になっていた。

「……ありがとう。少しよくなった。」
「そういう顔してない。多分早退だろ?」
「……うん、」
「なんか元気ないな、美優香らしくない。」

普段なら重くなかった?とか、私が冗談を言ったりする雰囲気だったから、冬弥は珍しく目を一瞬、見開いてからお大事にと言われた。

「……諦めるな。」
「え?」

帰り際に一言呟いて帰っていった。お兄ちゃんといい、なんでそんな助言みたいなのを残していくんだろう。お兄ちゃんはお母さんから話したのを聞いたのかもしれないけど、冬弥は、なんで気になることばかり言うのだろう。

「寝よう。」

私は頭痛が辛すぎるのでお母さんが迎えに来るまで横になることにした。


「なんか、ご飯でも食べる?おかゆなら作れるけど。」
「……ううん。お腹空いてないからいい。」
「……そう?なんかあったら声かけてね。」

家に帰ると、真っ先にベッドへ飛び込む。スマホをちらっと見るが当たり前だが学校中なため連絡は来ていない。浅見君とのメッセージ欄を見ると、

「……え?」

画面には何も書いてない。何度更新しても何も出てこない。あの浅見君との甘いメッセージは?あの騒ぐ心臓を抑えて返事したメッセージは?

私は崩れ落ちて回らない頭で放心する。


熱が意外と収まらず、二日ぐらい寝込んでしまった。雪を浴びすぎたな。そして三日後ようやく、良くなり深呼吸をしてバスに乗った。すると、たまたま浅見君の反対側が空いてて座ろうとしたら浅見君がキーホルダーを落としていた。大丈夫。また、「あ、安達さん、おはよう。」って明るく接してくれる。

「あの、これ。」

差し出すと、浅見君は笑顔一つも見せなかった。