あれから数日後、浅見君とは毎日話しているけど今のところ異変はない。でもあの心からの笑みも見れる回数が減って来たし、距離感も少しだけ戻っていった。私は恋と自覚した時から段々コップの水が溢れそうになって困っているけど中々勇気が出ず告白できなかった。だって浅見君が段々離れていっているような気がして今言うと振られそうな予感がした。
そして教室へ入ると、ここ数日、例の彼と恋の悩みで元気がなかった乃愛は前のように明るくなっていた。
「よかった!」
「だから私はずっと言ってたのに。」
いい展開に進んだ乃愛と、だから、ずっと肯定し続けたでしょ?と自信満々な日和が話していた。例の彼はやっぱり乃愛が気になってて、明日またデートに行くみたい。
「……おめでとう。」
いいな。私も浅見君とお出かけしたい。いや、あの笑顔を、ずっと見て居たい。これだけも願ってはいけないと思う?
「美優香はなんかあったの?」
覗きこんできた乃愛にバレないように零れ落ちそうな涙を手でこすって拭く。
「ううん、大丈夫。乃愛よかったね!これから頑張るんだよ!」
私はバレないように乃愛の背中を叩いて応援する。乃愛には隠してるのがバレてないのか、自分の幸せでいっぱいなのか照れくさそうに笑っている。
「……。」
その時冬弥が見つめてきていたのは気づかなかった。
「そういえばさ、この間のおみくじを財布に入れようとしたらなんか見当たらなくて。」
バスで今日も浅見君とおしゃべりをしていて、浅見君は相変わらず話を聞いてくれてる。
「おみくじ?今年の初詣で引いたの?」
「え、……何言ってるの?」
まさかの反応で戸惑う。何言ってるの?だって相川君とお母さんの四人で引いて、私と浅見君は同じ大吉だったじゃん。忘れちゃったの?顔を見ると本当に覚えてないようだ。
「覚えてない?私たち大吉だったじゃん!」
バスなのについ大声を出してしまいハッとなり周りの人に対して頭を下げる。
「……大吉……?
!」
「だ、大丈夫?!」
また頭が痛くなったみたい。浅見君。なんか様子が変だよ。また背中を触りながら、落ち着くのを待つ。
「……もう大丈夫。」
落ち着いたのでほっとしたけど、結構心配だな。どうしたんだろう。急に。
「ごめんね。なんか、僕、変だね。疲れてるのかな?」
「そうだよ!最近寝れた?ご飯食べれてる?」
私がまるでお母さんのように詰め寄ると浅見君は珍しく作り笑顔ではない本当の笑みを見せてくれた。それで少しだけホッとした。
「大丈夫だよ。今日は早めに寝るね。また明日の朝、電話する。ほら、着いたみたいだよ。」
そう言って見送ってくれた笑顔は重い病を隠している人のようだった。
「美優香、大丈夫?」
教室に入ると珍しく乃愛と日和が遅刻しているみたいで、男子二人しかいなかった。別の友達と話そうかなと思っていると冬弥が声をかけてきた。
「え、うん。大丈夫だけど。突然どうしたの?」
冬弥が真っ先に話しかけてくるのは初めて。あ、乃愛がいないからか。私はとりあえず荷物を置き片付けながら話をする。
「……いや、なんとなく。」
心配で話しかけに来たけど、どう話したらいいか分からないみたい。
「心配しなくても本当に大変だったら言うね!」
「……分かった。待ってる。」
冬弥に全力の笑顔を見せて安心させる。大丈夫。大丈夫。そう言い聞かせて叫びそうな心の扉を閉めた。
「で、友達がカフェでパンケーキ頼んだら値段を見てなくて二千円近くして崩れ落ちてたの!」
「ちゃんと値段は見ないとだね。」
今日も浅見君は話を聞いてくれるが、正直気になる。この間、冬休みの出かけた時になぜ友達から離されて助かったと言ったのか。なぜ自分の話をほとんどしないのか。友達と喧嘩でもして気まずいのかな?でも相川君とは仲いいよね。
「カフェか、行きたいな。」
私が考え事をしていると小さな呟く声がした。誘ったらまた行ってくれるかな?今度はあまり緊張せずに言葉が出てきた。
「またカフェ行かない?今度は浅見君の好きなカフェラテが美味しいお店に!」
表情を見ていると、口を開けてまんまるとした目で見てくる。
「……また?っていうか、なんで僕がカフェラテ好きって知ってるの?前話したっけ?」
まただ。浅見君はまた変になったみたい。まるで覚えてないように。冗談だよね?忘れてないよね。私との記憶を。
「え、だって前行ったじゃん。私の好きなカフェに。
……覚えてないの?」
私は少しの沈黙の後かすれた声で絞りだすように呟いた。顔が歪んでいる気がするけど不思議と涙は出ない。
「……ごめん。昨日よく寝たんだけど。
よければ何を話したか教えてくれない?」
「……うん。」
私は覚えている限りの話をした。こういう時に自分の記憶力が役だつとは思わなかった。なるべく浅見君に覚えておいてほしい。そう願って。
そして教室へ入ると、ここ数日、例の彼と恋の悩みで元気がなかった乃愛は前のように明るくなっていた。
「よかった!」
「だから私はずっと言ってたのに。」
いい展開に進んだ乃愛と、だから、ずっと肯定し続けたでしょ?と自信満々な日和が話していた。例の彼はやっぱり乃愛が気になってて、明日またデートに行くみたい。
「……おめでとう。」
いいな。私も浅見君とお出かけしたい。いや、あの笑顔を、ずっと見て居たい。これだけも願ってはいけないと思う?
「美優香はなんかあったの?」
覗きこんできた乃愛にバレないように零れ落ちそうな涙を手でこすって拭く。
「ううん、大丈夫。乃愛よかったね!これから頑張るんだよ!」
私はバレないように乃愛の背中を叩いて応援する。乃愛には隠してるのがバレてないのか、自分の幸せでいっぱいなのか照れくさそうに笑っている。
「……。」
その時冬弥が見つめてきていたのは気づかなかった。
「そういえばさ、この間のおみくじを財布に入れようとしたらなんか見当たらなくて。」
バスで今日も浅見君とおしゃべりをしていて、浅見君は相変わらず話を聞いてくれてる。
「おみくじ?今年の初詣で引いたの?」
「え、……何言ってるの?」
まさかの反応で戸惑う。何言ってるの?だって相川君とお母さんの四人で引いて、私と浅見君は同じ大吉だったじゃん。忘れちゃったの?顔を見ると本当に覚えてないようだ。
「覚えてない?私たち大吉だったじゃん!」
バスなのについ大声を出してしまいハッとなり周りの人に対して頭を下げる。
「……大吉……?
!」
「だ、大丈夫?!」
また頭が痛くなったみたい。浅見君。なんか様子が変だよ。また背中を触りながら、落ち着くのを待つ。
「……もう大丈夫。」
落ち着いたのでほっとしたけど、結構心配だな。どうしたんだろう。急に。
「ごめんね。なんか、僕、変だね。疲れてるのかな?」
「そうだよ!最近寝れた?ご飯食べれてる?」
私がまるでお母さんのように詰め寄ると浅見君は珍しく作り笑顔ではない本当の笑みを見せてくれた。それで少しだけホッとした。
「大丈夫だよ。今日は早めに寝るね。また明日の朝、電話する。ほら、着いたみたいだよ。」
そう言って見送ってくれた笑顔は重い病を隠している人のようだった。
「美優香、大丈夫?」
教室に入ると珍しく乃愛と日和が遅刻しているみたいで、男子二人しかいなかった。別の友達と話そうかなと思っていると冬弥が声をかけてきた。
「え、うん。大丈夫だけど。突然どうしたの?」
冬弥が真っ先に話しかけてくるのは初めて。あ、乃愛がいないからか。私はとりあえず荷物を置き片付けながら話をする。
「……いや、なんとなく。」
心配で話しかけに来たけど、どう話したらいいか分からないみたい。
「心配しなくても本当に大変だったら言うね!」
「……分かった。待ってる。」
冬弥に全力の笑顔を見せて安心させる。大丈夫。大丈夫。そう言い聞かせて叫びそうな心の扉を閉めた。
「で、友達がカフェでパンケーキ頼んだら値段を見てなくて二千円近くして崩れ落ちてたの!」
「ちゃんと値段は見ないとだね。」
今日も浅見君は話を聞いてくれるが、正直気になる。この間、冬休みの出かけた時になぜ友達から離されて助かったと言ったのか。なぜ自分の話をほとんどしないのか。友達と喧嘩でもして気まずいのかな?でも相川君とは仲いいよね。
「カフェか、行きたいな。」
私が考え事をしていると小さな呟く声がした。誘ったらまた行ってくれるかな?今度はあまり緊張せずに言葉が出てきた。
「またカフェ行かない?今度は浅見君の好きなカフェラテが美味しいお店に!」
表情を見ていると、口を開けてまんまるとした目で見てくる。
「……また?っていうか、なんで僕がカフェラテ好きって知ってるの?前話したっけ?」
まただ。浅見君はまた変になったみたい。まるで覚えてないように。冗談だよね?忘れてないよね。私との記憶を。
「え、だって前行ったじゃん。私の好きなカフェに。
……覚えてないの?」
私は少しの沈黙の後かすれた声で絞りだすように呟いた。顔が歪んでいる気がするけど不思議と涙は出ない。
「……ごめん。昨日よく寝たんだけど。
よければ何を話したか教えてくれない?」
「……うん。」
私は覚えている限りの話をした。こういう時に自分の記憶力が役だつとは思わなかった。なるべく浅見君に覚えておいてほしい。そう願って。


