※確認用

 その女性は顔を上げて、私を見た。
 わあ、たくさん泣いてる…。そんな顔をされたらこっちまで心が苦しくなってしまう。
「そのハンカチ、捨ててもらって構いませんので…。失礼しますっ。」
 私はきびすを返して再び歩き出した。
 ……ごめんなさい。
 見回りがあるので、あとは周りの皆さんに任せますっ。
 そう心の中でつぶやいて私は見回りを再開した。
 しばらく歩いているとき、急に雪が強くなった。
―――ぶおーーー
 風と地面に積もっている雪がさらに舞い上がって、吹雪となって暴れているようだった。
 さ、寒いっ。
 いつも動きやすいようにと薄着で活動しているから余計に寒いな…。
「ははは、どうしちゃおうかなー?」
 すぐ近くで誰かの声が聞こえた。
 ……何かわからないけど、すごく嫌な予感がする。
 私は駆け足で声が聞こえたほうへと向かった。

 声のすぐ近くに来たら、近くの物陰に隠れて気配を消して、様子をうかがった。
「うわぁー、汚いねぇ。」
 スーツを着て、顔が真っ赤で、ふらふらしている人がいる。しゃがんで何かにしゃべりかけているみたいだった。
 酔っ払いだな。こんな雪の中、薄着で出てくるなんてどれだけ飲んだのかな…。
 しばらく相手の行動を見張っていると、ポケットからキラッと光るものを出した。
 も、もしかしてっ…。
 私は即座に飛び出した。同時に酔っ払いの腕をつかみ、肩を軽く押した。
 酔っ払いはそのまま倒れて気絶し、酔っ払いの手に視線を向けた。
予想通り―――酔っ払いの手にあるものはハサミ。暗殺者だったら、私の気配に少しは気づくはず。この人はおそらく一般人。
 ここらへんでは包丁もハサミも簡単に手に入れられる。便利な反面、凶器などに使われてしまう。
私は酔っ払いを近くの屋根のあるところに連れて行き、猫を優しく抱き上げた。
猫は私の胸の中で、気持ちよさそうに頬をこすりつけてきた。
「か、可愛いっ…!」