「あれ、伊草?」
一が首をかしげる。
いつもならすぐに現れるはずの伊草さんが出て来ず、甘太郎と樹も不思議そうにしていた。
その瞬間、ぼくは自身の考えに確固たる自信を持ち、頭を押さえる。
3人の視線が集中するのを感じながら、ぼくはそっと呟いた。
「あの獣道…大人には狭すぎて、伊草さん詰まってるんじゃないか…?」
『あ………』
その後、急いで4人で来た道を戻ると、草木に侵入を阻まれて動けなくなっていた伊草さんを発見。
救出のため手分けして獣道の通路を広げ、動けるようになった伊草さんと共に秘密基地の拠点へ戻った。
「お手数をおかけして申し訳ありませんでした…」
真っ赤な顔の伊草さんからテントを受け取る。
無理して通った場所から動けなくなったうえ、その情けない姿を小学生(うち1人は未来の上司)に見られ、さらに助けだされたのだ。
大人としては恥ずかしいことこの上ないだろう。
それが伝わったからか、そのことについて誰も何も言わなかった。
4人でただひたすら…樹を中心として黙々とテントを立てていく。
テントの設営が終わるころには伊草さんの気配は消えていた。
「中、入ってみようぜ!」
甘太郎が先陣をきってテントへと入っていく。
ぼくと樹、一も後に続く。
テントは思っていたより広く、4人で寝転がってもまだ余裕がありそうだった。



