「んじゃ、サクッとテント張っちゃうか」
樹が腕まくりをしてそう言い放った。
「テントは確か、一が担当だったよね?」
ぼくの言葉に一が笑顔で頷く。
「はい!使っていない物があったので、それを持ってきました!」
「へぇ、よくリュックの中に入ったな」
ぼくの視線が一のリュックに向かう。
一はキョトンとした顔でこちらを見つめた。
「いえ、伊草に預けてます」
『預けちゃったの!?』
ぼくら3人のツッコミに一があたふたとしだした。
「えっ!?でも秘密基地の拠点になる大切な品ですし、大人に預かってもらった方がいいかなって…!!」
なんとも一らしい、几帳面な言葉が返ってきてぼくらは頭を悩ませた。
大人に作ることがバレてる秘密基地ってもう秘密ではないのでは…?
というかこれって、伊草さんと合流しないといけないんじゃ___。
そこまで考えてぼくはハッとする。
ある事が頭をよぎり、いやまさかね~と思いつつも一に聞いてみた。
「一、ちょっと伊草さんを呼んでもらってもいいか?」
「あれ、珍しいじゃん。栄助が伊草さんに会おうとするなんて」
「少し気になる事があって…どう?一」
「はい、もちろんいいですよ…えいっ!」
そう言うなり、一が指をパチンと鳴らす。
……………。
しばしの沈黙。
辺りから、伊草さんは現れない。



