「それは運が悪かったな」
甘太郎の家は“みのりざき”という名のケーキ屋だ。
ここら辺では珍しい個人経営の店を、両親と甘太郎、妹の家族4人でやっている。
アルバイトを雇っていないから、長男である甘太郎が店番をすることも多い。
家の手伝いをしていたなら、今回の遅刻は許すほかないだろう。
「だけどさ、ほら!見てくれよコレ!」
甘太郎が手に持っていた“みのりざき”の箱をかざしてニカッと笑った。
「店番したご褒美にって母ちゃんがケーキ持たせてくれたんだ!テント張り終わったら皆で食おうぜ!」
「それは楽しみですね!“みのりざき”のケーキはどれも美味しいですから…!」
「へへっ、だろー?」
わいわいとはしゃぐ甘太郎と一。
2人を見つめ微笑ましい気持ちになりながら、ぼくは樹に声をかけた。
「ちなみに、樹はなんで遅くなったんだ?甘太郎みたいに家族の手伝いとか?」
それを受けて樹は「あぁ、そうだな」と口を開く。
おっ、やっぱり手伝いをしてき___。
「じいちゃんの手伝いしようと屋根に上ったら、足が滑って下に落下してた」
「本当に運が悪かったな!?」
いやこれは運が悪いとかで済む話なのか!?
平然としている樹にぼくは慌てて駆け寄る!



