平凡な町中で、屈強な成人男性(黒スーツにサングラス)が10人で…しかも華奢な小学生1人を前後左右にわたり警護しているんだ。
その図を想像するとなんともいえない気分になる。
だけど今、一の周囲にそれらしき集団の気配はないように思う。
「よく抜け出せたな、その悪夢みたいな包囲網から」
「そこは伊草のおかげなんです。彼が話をつけてくれたおかげで、ボディーガードは伊草1人に一任されることになったんですよ」
「またいるのか、あの人…」
4月のロッカー不審者事件で、ぼくのトラウマになりつつある伊草さん。
どうやらまた、気配を消してどこかに潜んでいるらしい。
…あ、ダメだ、身震いしてきた。
「悪い!待たせた!」
「やべぇ、もう2人来てるじゃん」
ふと、足早に甘太郎と樹もやって来た。
どちらも一同様、荷物を持っている。
ぼくは大きく息を吐いた。
「やっと来たか…てか、お前らはなんで遅くなったんだ?」
ぼくの問いかけに甘太郎がすねた様子で唇をとがらせた。
「聞いてくれよ!家を出ようとしたら母ちゃんに見つかってさぁ…ついさっきまで店番させられてたんだよ」



