今の私は、ある意味無敵状態だった。
歩道橋の上。車通りも人通りも気づけば少なくなっていた夜21時現在。
冬の冷たい空気が頬を刺すように撫でてこようと、道行く人がジロジロと私を見てこようと、全てが今の自分にとっては屁でもない事。
泣き腫らした顔は既に涙でカピカピで、大きく口を動かすと若干突っ張る。
右手には先程一気に飲み干した缶ビール。社会人になって飲むようになった。この苦味が沁みると感じるようになるとは。
____金澤沙雪、25歳。
社会人3年目にしてドポンコツの逆シゴデキ女。比較対象の同期はすごい子達ばかりのせいで私の不出来さがよく目立つ。
昔から人より倍努力しなければ周りに追いつけないタイプの人間で、秀でたものを何一つ持っていない。一生特技なし長所なしの底辺なのだ。
そう、底辺なのだ。分かっていたこと。
だけど………
〝「金澤さんってなんであんなに要領が悪いのかしら。」「思ってた。金澤さんじゃなくて他の子をこっちの部署に寄越して欲しかったよ」〟
たまたま聞こえてきた会話。今も脳裏にこびりついていて離れない。じわじわとまた涙がこみあげる。



