「なんだ、やっぱ気にしてんじゃん」 私の視線の先にいる矢吹の姿に気づき、山岸がニヤニヤしながらそう言った。 「別に…!」 反射的に声が少し裏返る。 ごまかすようにコートに背を向け、空になったボトルを片手にウォータージャグの前に立った。 何も気にせず、今は仕事に集中ーーーーそう自分に言い聞かせて、蛇口をひねる。 だけど力が入りすぎて、水が勢いよく噴き出した。 「冷たっ!」 ボトルを持っていた手に、冷たい水がばしゃっとかかる。 思わず手を引っ込めると、隣から呆れた声が飛んできた。