愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

 この状況で、どうして私が助けると思うのだろう。
 私は深くため息をついたあと、声を上げた。

「その下女は私の行動に腹を立てていたようですね」
「下女? 君の行動とは一体なんだ?」
「私の部屋に毎日運ばれてくる食事がかなり酷い物だったので、料理長に聞きに行ったのです。すると、それは私に用意されたものではなく、廃棄するものをわざわざ彼女たちが運んでいたようでして。先ほどその件で厨房で少し揉め事になっただけですわ」

 私の言葉に、ラナは力なく首を横に振った。
 これで公爵がどう思うか知らないけど、こちらは別に嘘などついてはいない。

「それで下女というのはどういう意味だ?」
「ああ、その子たちは私の部屋に食事を運ぶだけで掃除や私の世話など何もしてくださらないので、てっきり下女かと思っていたのですが、違いましたか?」

 公爵の額には、うっすらと青筋が浮かんでいた。
 愛はなくとも、さすがに自分のところの使用人の不正は許せないのね。

 変にこっちのせいにされたり、いじめを当たり前だと言うような人でなくて良かったわ。

「ビオラの侍女を全員集めろ。そして俺の執務室へ連れて来るんだ」
「かしこまりました」

 秘書らしき男性が、頭を下げながらダイニングから小走りで出て行く。
 公爵に睨みつけられたままのラナは、その場にへたりこんだ。

「アーユ、彼女にはすぐに新しい食事を用意するように厨房へ伝えてくれ」
「かしこまりました、アッシュ様」

 アーユと呼ばれた侍女は、私に深々と頭を下げたあと、秘書と同じように出て行った。
 そしてどこからか、ガタイのよい騎士たちがラナをダイニングの入り口から引きずり出す。

 無駄に抵抗するラナは両脇から抱えられ、どこまでも泣き叫んでいた。
 しかし私にはそれを庇う理由もない。
 
 同じことをビオラにしたんだもの。自業自得ね。