「ホントいい加減にして下さい! まったく、奥様のせいであたしたちが酷い目にあったんですからね。どうしてくれるんですか!」
扉の開く大きな音、そしてそれに合わせるように大きく床にこぼれる落ちる料理たち。
それはまるで、コントでも見ているかのような綺麗な流れだった。
侍女ラナは、私が先ほど思ったのと同じように、ここには私しかいないと思っていたのだろう。
しかしここには公爵をはじめとした他の人間がいた。
私にいつも通り文句を言いながら飛び込んできたものの、私を見つけるよりも先に公爵を見た彼女は声を失った。
公爵は彼女の振る舞いに勢いよく立ち上がり、眉間にシワを寄せ睨みつける。
その表情は私に向けるそれよりもはるかに冷たく、威圧感があった。
ラナはただ震えながら、その場に立ち尽くす。
「どういうことだ。なぜ侍女が、このような場所に金切り声で入ってくる」
「あ、あの……もうしわけ……」
その瞳には涙を浮かべ、ラナは私に助けを求める様に視線を向けた。



