愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

「ビオラ様!」

 途中転びそうになり、中に入っていた水が少しこぼれても、ルカは全力で私のそばまで走って来る。
 その懸命な姿は微笑ましくもあり、涙が出そうになった。

「おみず、でしゅ。ああ、こぼれてりゅ」

 私に差し出しながら、ルカは自分が汲んできたコップの中身に気付き声を上げた。
 おそらくたっぷり入れてきたであろう水は、もう半分くらいになってしまっている。

「あの、あの、あの……ボク……」

 目の前で悲しそうにコップの中身を見つめるルカを、私はそっと引き寄せて抱きしめた。

「ありがとう、ルカ様。わざわざ私のために、お水を汲んできて下さったのですね」
「でもおみじゅが」
「大丈夫です、ちゃんとまだ入っていますよ。それに汲んできてくれたことが、すごくすごく嬉しいです」

 私はルカからそっとコップを受け取ると、そのお水を飲み干す。
 今まで飲んできたどの飲み物よりも、それは甘く美味しく感じられた。