愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

「はぁ。どうするのよ、これ」
 
 私は顔を押さえながら、ただため息を吐いた。
 足元には黒く小さなアリに似た虫が、綺麗な隊列を作って歩いている。

 仲間なのか家族なのか。
 虫にだってそういうものがあるのに、なんで私はこんな広い屋敷で一人ぼっちなのだろう。

 なんか惨めだなぁ。いっそ、ここから抜け出せたらいいのに。
 でも逃走するにしても体力なさすぎは問題ね。

 食べて体力つけなきゃ。
 前世の知識があったって、一人で働きながら生きていくのは到底無理ね。

「あ、あの! だ、大丈夫でしゅか?」

 やや舌足らずで涼やかな声に、私は顔を上げた。
 見れば、四、五歳くらいだろうか。
 ハニーブロンドの髪に青い瞳の小さな男の子が、やや体をかがめながらこちらをのぞき込んでいた。

 やや震えながらも、私を気遣うようにその瞳は不安げだ。