愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

「んっ」

 気だるい体をベッドから少し起こすと、ぼんやりと視界が白く歪んで見える。

 熱を帯びた体は鉛を入れられてしまったかのように重い。
 思ったように動けぬままペットボトルの水を求めて手を伸ばせば、近くに置かれていた水差しが小さな音を立てながら床に落て転がっていった。

 幸い水差しの中に水は入っていなかったのか、高級そうな金の糸で柄の描かれた赤い絨毯にシミはない。

「水差しに、絨毯?」

 我が家にそんな高価なものなんてなかったわよね。私はふと気になり辺りを見渡す。

 待って。このベッドすら私の物じゃないし。
 見上げた先にある薄いレースの天蓋の付いたベッドなど、物語の中以外では見たこともなかった。

「何がどうなって……ううう、頭が割れるように痛い」

 そもそもどうして私はこんなところにいるのか。
 痛むこめかみを片手で押さえながら、昨日のことを思い出していた。

 確か仕事中からいつもの片頭痛がひどくて、痛み止めを飲んで仕事をしていたんだっけ。
 そのあとフラフラのまま帰宅して、またもう一回薬を飲んだ。

 記憶はそこでぷっつりと途絶えてしまっている。
 そして目が覚めた先がここというわけだ。

「全然意味がわからない。病院でもないなら、ここはどこなの?」

 視界が揺れるまま何とかベッドから這い出ると、私は近くにある姿鏡の前へと向かう。
 そしてそれに掴まりながら立ち、自分の姿をジッと見た。