祝福のあとで

その帰り道。

 ひかりは、立ち止まって夜空を見上げた。

 あの頃。
 彼に言われた言葉が、ふと蘇る。

——今は、結婚を考えられない。

 あの時は、
 突き放されたように感じた。

 でも。

 今なら、わかる。

 彼は、逃げたわけじゃない。
 無責任だったわけでもない。

 ただ、
 「先が見えないまま続ける」ことを
 選べなかっただけだ。

 理解できたからといって、
 戻りたいわけじゃない。

 その事実に、
 ひかりは、少しだけ安堵した。

 スマートフォンを取り出す。

 時間は、まだ早い。

 ——Bar After。

 文字にしなくても、
 足は、もう方向を覚えていた。