時刻は9時半になりドアが開いた。
「いらっしゃいませ〜」と悠乃が振り向くと立木さんが入ってきた。
「あっ…(笑)」と悠乃はまた笑顔になった。
立木さんはまっすぐにカウンターに座った。
いつもはテーブル席に背を向けて座るのに…
「悠乃さんの移動が少しでも楽になるように今日はカウンターにします」
「ありがとうございます、では洋食と和食、どちらにしますか?」
店の入り口には当日のモーニングのメニューが毎日悠乃がチョークで書いてある。
「今日は和食でお願いします」
「はい、お待ちください」
悠乃は奥に引っ込むと、だし巻き玉子を焼く準備をした。
卵を混ぜていると「すみませんー、コーヒーお願いします」
あっ、しまった、店内を見てなかった。
「はーい」
悠乃は奥から出てきてすぐにコーヒーを入れた。
「すみません、お待たせ致しました」
「悠乃さん、私のはゆっくりでいいですからね」
「はい、すみません」
店内には立木さん以外は2人のお客様
先にお盆に小鉢を乗せてだし巻き玉子を最後にゆっくり作ることにした。
塩鮭をグリルに入れて、おにぎりの具の準備をする。
よし、あっ、立木さんにお水も出してなかった。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
お水とおしぼりを出すと1人のお客さんがレジに来て支払いを済ませた。
「ありがとうございましたー」
悠乃は卵焼きを焼き始めた。
最後におにぎりを2つ握って
「お待たせいたしました」
お盆を立木さんの前に運んだ。
「いただきます」
お味噌汁から飲み始め
「はぁ、落ち着く…」と普段見れない顔をまた見ることが出来た。
悠乃の作っただし巻き玉子を頬張るとふわっと優しい笑顔になった。
「美味しいですか?」
「はい…あっ…」
立木さんは手で口を隠した。
照れる仕草だ。
「しまった、カウンター席だったのについ顔が緩んでしまいました…」
「全然おかしくないですよ、そんな美味しそうに食べてくれると悠乃も嬉しいです」
「…よかった…」
立木さんはおにぎりも頬張ると嬉しそうにニコニコしていた。
ふふっ、可愛い…



