静かなる、恋の包囲網

「とりあえず話をしよう」
「はい」

こうなってはもう逃げ出すことはできない。
何でもおっしゃってくださいの思いを込めて雄平に向かい座り直した塔子だったが、なぜか雄平は席を立ち上がった。

「行くぞ」
―――え?

意味がわからず、呆然とする塔子。

「ここではなんだから、場所を変えよう。うちのマンションでいいか?」
「それは困ります」

この状況で塔子に反論する余地はないが、さすがに男性のマンションに深夜お邪魔することに抵抗がある。

「数日前に泊まっていったくせに」
「それは・・・」
「わかった。場所は考えるとして、まずは着替えて来い。店には、俺が連れ帰るということで話をつけておくから」
「・・・わかりました」

塔子は小さく肩を落としながら、席を立った。