初恋の人がいきなり上司で、訳あり同居生活

「そういえば、父さんが一緒に夕食はどうだと誘っていた」

父さんとは雄平の父タカミヤホールディングス社長の事。
もちろん用件は社長としてではなく、雄平の父として塔子に会いたいということなのだろうが…

「塔子も忙しいし、無理をする必要はないとは思うが・・・」

どうする?と、雄平が尋ねる。
塔子は、一瞬考えてから、口元を緩ませた。

「私は大丈夫ですよ」
「本当に?」
「ええ」

勤め先の社長との会食に緊張感はあるものの、雄平の父に会うことに対するためらいは無い。

「私はもう過去を振り返るのをやめたんです。どんなことがあっても、現実から逃げないで、ちゃんと前を向いていく、そう決めたんです」
「塔子」
驚いたように雄平が目を見開く。

「そう思わせてくれたのは雄平さんあなたですよ。だから、お父様にもちゃんと会ってご挨拶します」

塔子の言葉を聞いた雄平は静かに塔子へ近づくと、そっと抱きしめた。
伝わってくるぬくもりはただ暖かくて、塔子と同じボディーソープの香りが微かにした。

「ありがとう。塔子のことは、俺が一生かけて守るから」
「雄平さん」

込み上げてくる涙を必死にこらえながら、塔子は雄平の背中に手を回した。