静かなる、恋の包囲網

その後、塔子をソファーへと促し、雄平はキッチンへと向かった。

―――それにしてもすごい部屋ね。

お金持ちの御曹司だとは聞いていたが、ここまでとは想像していなかった。

「クリスマス用にオードブルが用意してあるみたいだけど、食べるかい」

台所から聞こえてきた雄平の声に塔子は思わず立ち上がった。
そういえば、今日はまだ夕食を食べていない。
本当はバーで何かをつまみ、帰りに何か買って帰るつもりだったが、あの男性客に絡まれたせいでほとんど食べることができなかった。

「見てもいいですか?」

初めて訪れた見ず知らずの人の家で図々しいかなと思いながら、もう二度と会うこともない人だと思えば、遠慮もなくなっていく。
少しだけ入ったアルコールのせいで、塔子はいつもよりも少し大胆になっていた。