ケーキを食べ終えたあとも、カフェは相変わらず混んでいた。
「追加、どうする?」
美琴ちゃんが聞いてきて、私はメニューを見る。
「ホットのアッサ厶でいいかな」
「はーい、私も同じのにしよ」
そのタイミングで、さっきの店員さんがこちらに来た。
「ご注文、決まりましたか?」
思っていたより低い声だった。
でも、近いのに不思議と緊張しない。
「ホットのアッサムティー、二つお願いします」
美琴がそう言うと、彼は小さく頷いてメモを取る。
「ありがとうございます。少しお時間いただきますね」
それだけ言って、すぐに離れていった。
必要以上に近づかないのに、ちゃんと目を見て話す。
……やっぱり、変な人じゃない。
カップが運ばれてきて、湯気が立つ。
甘いナポレオンの余韻に、あたたかさが重なる。
さっきより
ほんの少しだけ、距離が縮んだ気がした。
