甘さを重ねて、恋になる



周りを見れば、彼は他のお客さんにも
同じように丁寧に接している。


変わらない距離。
変わらない声。


なのに。


どうしてか、さっきの言葉だけが
少し、近く感じた。


店員さん、なのに。


それだけで片付けてしまうには、
あの一言は、ほんの少しだけ
胸に触れすぎていた。


――今日は、これに集中しよう。


フォークを入れる。
甘さが、ゆっくりと広がった。