甘さを重ねて、恋になる

しばらくして、追加のケーキが運ばれてくる。


「お待たせしました」


お皿を置く、その直前。


「……無理しすぎないでくださいね」


声は低く、落ち着いていて
いつもの接客と変わらないはずなのに。
その一言だけが、不意に胸に残った。


ありがとうございます、と言いながら、
私は視線を落とす。


――今のは。


仕事の一部。そう言われたら、
そうなのかもしれない。それでも。
私を見て、言った言葉だった。


フォークを取る手が、
ほんの一瞬だけ止まる。