甘さを重ねて、恋になる



「あ、えっと……」


一瞬だけ迷ってから、私は小さく笑った。


「テスト、ちょっと頑張ったので。
今日は、自分にご褒美です」


言い終わってから、
なんだか子どもっぽかったかも…と思う。
もう少し違う言い方のがよかったかな。


でも彼は、ほんの少しだけ目を細めて


「そうなんですね」


と、微笑んだ。


そしてそれ以上は何も言わず、
いつも通りの距離で注文を確認する。


その一言に胸の奥が、きゅっと縮んだ。


――覚えてる。


いつも日替わりしか頼まないことも。
今日が、少しだけ違うことも。


嬉しいより先に、どうして
分かられたんだろう、と思ってしまう。


でも不思議と嫌じゃなかった。
ただ、この時間を見られていたみたいで
ちょっとはずかしい。
少しだけ落ち着かなくなる。