甘さを重ねて、恋になる



――だめだ。


せっかくおいしいのに、
こんなことを考えながら食べるなんて。
お店にもケーキにも失礼。


私はメニューを取り、少しだけ迷ってから
日替わりの横に書かれているケーキに目を留めた。

いつもは頼まない、単品のケーキ。


今日は、甘いものをもうひとつ。


理由なんて、ない。
ただ、この時間をちゃんと味わいたかった。


「すみません、これもお願いします」


指さしたのは、
いつもは頼まない単品のケーキだった。


少しだけ声が小さくなったのを、
自分でも自覚していた。


「はい。ありがとうございます」


注文を取りながら、
彼は一度だけメニューに視線を落とす。