甘さを重ねて、恋になる




席に座って、
ショーケースを見る。


今日の日替わりも
やっぱりかわいい。


(これにしよう)


そう決めたところで、
ふと、視線を感じた気がして顔を上げる。


カウンターの向こうで、
あの人が別のお客さんに対応していた。


笑顔は向けているけれど、
距離は変わらない。


(……同じだ)


誰に対しても、同じ。


それを見て少し安心して、
…少しだけ、がっかりした。


フォークを持つ手が、止まる。


(私、何期待してるんだろ)


ケーキは、ちゃんと甘い。
いつも通りおいしい。


それだけで、十分なはずなのに。


視線が、
つい、カウンターの方へ向いてしまう。


覚えているかもしれない。でも、
覚えていないかもしれない。


そのどちらでもないまま、
今日も、午後は過ぎていった。