「ありがとうございました」 そう言って、 湊はいつも通りの距離で、カップを置いた。 「……あ」 私は一瞬だけ顔を上げて、 またすぐに視線を落とす。 (やっぱり、覚えてるのかな) でも、その答えを確かめる勇気は、まだなかった。 ケーキは今日も甘かった。 それだけで、十分なはずなのに。 ほんの少し、胸がちくりとした。