甘さを重ねて、恋になる



その次の日も、
私はいつも通りカフェに足を運んだ。


日替わりケーキを見て、迷って、
結局いちばん気になるものを選ぶ。


(今日のも、かわいい)


フォークを入れる前に、
思わず写真を撮ってしまう。


その様子を、カウンターの向こうから
誰かが見ていたことに気づかないまま。


「……あの子さ」


湊はマスターの横で小さく言った。


「いつも、ケーキ本当に嬉しそうに食べますよね」


マスターが、ふっと笑う。


「だろ。
ああいう子がいると、作りがいあるんだよ」


湊は、ショーケースの方を一瞬だけ見た。


フォークを持って、
目を少しだけ細めている女の子。


誰に話しかけるでもなく、
ただ、ケーキを味わっている。


(……ほんとに、好きなんだな)


そう思っただけだった。