甘さを重ねて、恋になる



放課後のカフェは、今日も混んでいた。


「やっぱり多いね」


美琴ちゃんがそう言って、メニューを覗き込む。


「うん。でも今日のケーキ、知らないやつだ」


名前は分からないけど、見た目はおいしそうでつい顔が緩む。


ここは、私たちがいつも座る席。
落ち着くし、ケーキが一番きれいに見える。


「湊、あそこ空けられそう?」


カウンター越しにマスターの声がして、顔を上げる。

エプロン姿の店員さんが、店内を一度見回してから、こちらに来た。


……横に、誰か入るってことだよね。
しかもこの席、二人用で、隣との距離が近い。


男性だったらどうしよう。
男の人って、少し苦手なんだよなあ。


ケーキを見ていた視線を上げるのが、ほんの少し遅れた。


「すみません。嫌じゃなければ、ここ使えますよ。無理なら…別の席探しますけど」


そう言って、彼は体を少しだけ引いた。


「あ……大丈夫です!ありがとうございます」


答えると、彼はにこっとして頷いた。


「じゃあ、お願いします。
荷物、よければこれ使ってください」


差し出されたカゴを見て、胸の奥が少しだけ温かくなる。

――私たち、カゴ足りてなかったんだ。


よく気がつく店員さんだな、と思った。