咲教授の数学推理ミステリー



クタクタで寝坊して、授業中。


途中参加で担当教師に怒られた。


皆の前で怒られてしまって。


その連中の中に、ソクラテス団員がいて。



笑われてしまった。



だからイライラしてたんだろう。



「次は役所に行こう」と。



教授に言われたのが尺で。



「堪忍してくださいよ。



授業中なのに。



目の前にやってきて。


俺は道具じゃないんですよ」



授業中に引きずり出された。



「事件解決がかかっている。


引き受けた仕事だ。


ちゃんとやらなければ。



僕もそこまでやわじゃない」



マイペースな彼に、振り回す彼に。



とってもイライラが募る。



「アンタの、仕事を引き受けたとて。


認めてくれずじまいなくせに」




と、俺らしからぬ発言をして。



はっと息を呑んでしまったが、遅い。



「今、なんと言った?」





「………あーもう!!



面倒くさいな!!



なら、言ってやるよ!!」




黙っていたって、これは俺の本心。



変わることはない。



「教授に使えてるの。



それは、遊びじゃないんです。


この落ちこぼれ学科に入ったのは。


教授も知っているでしょ!!!」




咲教授は何も言わない。




「最初に言っておきます!!


俺は学科3位の優秀な数学生徒です。



3位という数位を己の独学で。


そう食いつないでいる。



周りの仲間を一切借りずにね!!



それは教授がよく知っているはずだ!!」




俺は、小学校の頃から数学が得意で。



小学校1年の頃からだ。



もうその頃には。



中学3年生の数学をマスターしていた。



中学は大学数学何かを齧って。



学校の先生に間違いを指摘していたり。



高校では推薦で数学科のオファーを受け。


俺は数学という学問に惚れた。



そうゆう精巧な人間だった。 



だが、運命が狂い始めたのは。



あの「ソクラテス団」からのオファー。




この学園を牛耳っている「ソクラテス団」。



独学故に、優秀だった俺を一目置いて。



ソクラテス団はオファーを申し込んだ。



仲間になってほしいと。



だけども彼らは、差別主義。



数学以外の人間を馬鹿にし、切り捨てる。



そんな光景を何回も見てくるぐらい。



悪質極まりない団体だ。




このソクラテス団に入るメリット。



難しい問題を数多く挑戦できること。




その2つ目。



社会貢献。



数学を扱う仕事をもらえる。



それらは放課後行われ。



サークル活動に近い。



だが、近年黒い噂が絶えない。



ーー数学を使って、人体実験をしてる。




ーー数学人権侵害事件が多発している。



そんな噂が。



彼らの人を見下す態度もそうだ。


とっても気に食わなかったし。



縁を切ってやろうと、切り出したら。



学科1位成績がなんと最下位になっていた。



そんな事もあった。



調べると、ソクラテス団の嫌がらせ。



そんな嫌がらせかから、世界は一変し。



皆んなは巻き込まれたくないと俺を避け。



まるで空気みたいな存在。



数学のプリントや、授業情報なんかも。



全然回ってこない状況。




卒業が危ぶまれた頃。



「君は、数学に悪魔が住んでいる事。




それを知っているかい?」



項垂れていた俺に突如として、咲教授が。



目の前に現れたのだ。




それが咲教授との出会い。


「君が、あのソクラテス団に反抗した。



かの有名な生徒だと言ったがーー。


気の所為か?」




そうですけどと頷いたら。




「数学という学問は。


悪魔が異次元に住んでいる。



それを君は知りたいと思うか?」




全く意味が分からない。


月夜の光に照らされた白い妖精。


咲教授。



学年内でも、変人だと噂が絶えない。



たしかに女子生徒には、人気だが。



これじゃ、近寄りがたいと思う。



「知りたいーーと、いったら?」



嘘だ。



冗談半分に決まっている。



どうせ、このままだったら。



この学科にいたとしても。



意味はないと思ったから。



「君の知りたい学園情報をだ。



すべて教えてやろう。



リアルタイムでもいい」




枯れた花に水が注がれるみたいな。



そんな快感を覚えた俺は。



「どうすればいいんですか?」




「数学探偵クラブに入りなさい。



そしたら教えてやろう」




と言われて入ったのがきっかけなのに。




「俺は入った最初の条件に。


ーー「数学の職場」につくーー。


そう提案したはずです。



なのにどうして、こんな雑用ばかり?



問題を解いて、数学を学びたいのに!!



大学の勉強だけじゃ足りたいのに。


彼奴等に負けてしまうのに、なぜ雑用!?



おかしいじゃないですか!!」




溜まりに溜まった怒りが爆発し。



息を吸っては飲む。




「この問題も解けない人間が。


何をいうかと思えば……。



それなら、余計についてくるべきだな。



そうでなければ、今からでもだ。


君をクラブから追い出してやる。


そうすれば、学園内での活動は不可能。



他の学校の数学科に入ったとしても。



ソクラテス団が黙っていると思うか?




何をしでかすか分からない。



その手立てはあるんだな?




僕に、口出しするという意味は」




その意味は、俺が一番理解して。



「要は、貴方の近くにいないとーー。


数学の仕事は今後ーーもらえない。



就職につけないという事ですか?」





「当たり前だ。



こう見えても、僕は君を守っている。


ソクラテス団から。


学園内で追い出されないようにね。



何せ、ーーソクラテス団の団長と。



知り合いであり、親友であったから」




顔が険しくなっていく教授。




でも俺は、納得はいかなかった。




「貴方についていけば……。



いつかは教えてくれるんですか?


俺を雑用として、使いまわしている事を?」






「さあな。


来たるべき時が来たらだ。


その来る冪が来たとき、に備えて。



こうゆう地道な数学事件を解決し。



私を、説得させたまえ。



私は外で待っている」




と教授は外に出ていった。



今回も聞けなかった。



そして、認められなかった。


その団長との関係を詳しくだ。


教えてくれなかったから。



「俺の……俺の何がいけない?



数学で飯が食えたらーーー。



好きな数学で、人生を賄えたら。



それでいいってことが、なぜいけない?」





壁を人殴り。



辺りには誰もいない。








渋々嫌な気分になりながらも、やってきたのは役所。



隣には相変わらず、勇斗がいて。



楽しそうに絵を書いていた。




そのスケッチブックを覗く。



画力で息が詰まったが。



「あぁ、あの……教祖様ね。



あのインチキ野郎でしょ?



前に役所に直接来た時があったんです」



有益な情報をゲットして、後ろを振り返る。



咲教授が座りながら、足を組み耳を傾けていた。



「それを詳しく教えていただけませんか?」




「いやぁ……あの時はね、気性が荒かったね………。



事件が起こる4日前ぐらいだっけ?


何せ、直接教団がこの役所にやって来たんだから。



皆んな凍りついた。



でも凍りついたのは、教団が来たっていうのもあるけど……。



怖かったのは、教祖様が異常じゃない暴れ方をしてたから」




「異常じゃない、暴れ方?」




「そう。



役所に来るやいなや、持っていた白いナイフでね。



ここの机をガンッて。



ほらあとが見えるでしょ?」




渋々目を凝らす。



机の中心部には、深々とした二本のペンが刺さりそうな穴が。




「それで落ち着いてくださいって。



年配である私が話を聞いたんですけど。



ぜーんぜん。



何を言っているのかさっぱり。




教団の専門用語をね、まくしたてられたんですよ。




√の原理がどうだとか。



√は元素記号であることは世界のなんちゃらとか。



わけ分からないでしょ?




でもね……、教祖様の様子は只者じゃなかった。



これまで、役所の仕事をして修羅場を幾つも見てきた。


この私でも宣言できますよ……。



あの人は明らかに、執念に燃えてる目をしてたってね」




改めて黒メガネをしたおじいさんはそう答えた。


いや、役所である役員なのだけど。




「でも……白いナイフの正体は何だったのか」



後ろにいた、咲教授がブツブツと近づいてきた。



「白いナイフの正体………?



何でそんな事、聞くのー?」




親しげに話た勇斗に向ける、咲教授の笑顔を見て。



俺は何故か、胸が締め付けられるような気持ちに襲われて。



目をそらす。




「教祖がいつも身に纏っている白いナイフなのだろう?


ナイフというだけあって、コンパクトなものだから。


そんな護身用のナイフ、大切にしているナイフだ。


それを、敵本地に向けるとは。


それは何か、理由があったのではないかと思ってね。


おそらくは、護身用といえどそのナイフは儀式に使うものだ。


僕はそう思うね。」




「でもですね……、その教祖でしたっけ?


黒いナイフを常時もしてたんですよ。


ここは役所ですからね……。


いろんな噂が飛び交うものでして。



黒いナイフは……、特にヤバい呪い儀式。



みたいなのに使うみたいで……」




「じゃあ……その黒いナイフは、市役所内で見たんですか?」



「いや……それが見なかったから、呪いの対象じゃないって事みたいで、ホッとしましたよ。



いやはや、もう二度と合いたくない。


あんな教祖は………」




重要であろう証言を聞き終えた俺達は、すぐさま役所をでた。



「結局、誰が犯人なのか………僕分かんないよー………。



怖いなー。



教授、僕どうしたらいいの?」




「別にどうもしないさ。



暫く、君達休憩したまえ。



お金は1000円だ。



とりあえず、5時にはここにもう一度。


次は警察署に行くから、首を長くして待っていたまえ」




と、ひとりでにそさくさと去っていく教授。




あの馬鹿教授………。



「そういえば、元気ないね………どうしたの?

教授と喧嘩したの?」



まさかーーー自分が、教授から可愛がられていることが羨ましいとなど言えるわけなく……。



「お前……そういえば、どうしてこの数学科に来ようと思ったんだ?



普段は、美術学生なのに」



「んー、僕?


数学は、魔法だと思ってるからだよ?」




純粋で理解不能な回答をぶつけられてしまった為に、絶句するしかなく。



「でもね……僕は、教授と数学科にいる人達全員が羨ましいと思うよ……」



と悲しそうな目を向けられた事で、喫茶店に入ろうとした足が止まる。



「どうして?」




「僕は……言った通り、境界知能なんだ。

言われたことを何回も聞かないと、理解できない頭の悪さだから、数学なんて学ぼうと思ったら、人より2倍かかる。


それは……分かるよね?」



何度も同じ小学生の単純計算を、暫く考えないと答えが出ない現象は、俺は何度も見てる。



「僕わね、小さい頃からーー得意な絵で数学を表現して沢山の人に幸せな気持ちになってほしい。

そう思ってこのサークルに応募したんだ。


いざ案の定入ってみると、飲み込みの早い学生達がたーくさんいて……愕然としたよ。



もう中学生の数学をコンプリートしているのにもかかわらずさらなる高みを目指そうって思って難しい問題に飛び込んでいく。



その姿勢や、飲み込みの速さは僕には真似できない。



いつもそう、ゆっくり。



僕は数学を学び、その得た知識で沢山の絵を書きたいのに。


それができない……頭の悪さを今でも呪ってる………」



聞いたらまずかったような気がして、目をそらす。




「なら、辛いのに何でやめないんだ?」



「へ?


それは………やっぱり好きなのと……皆んなに笑顔になってほしいから」




「皆んなに……笑顔?」




「幸せになって、ほしいんだよ」




勇斗は空を仰ぐ。



「数学ってさ……簡単に言ってしまえば凶器になると思うんだ。


化学兵器、爆撃機を作る計算表だって数学が関わってくるでしょ?



人を何万人という命を奪う兵器になりうる。



でもその反面、こうやってスマホを使えたり、3Dゲームを楽しんだりして沢山の人を幸せに出来る側面もある。



使い方次第で、数学って人の運命をも変えてしまう………魔法だなーって僕は思うんだ」




「魔法………思いもしなかったな」




「だから、僕は数学が人の運命を変えてしまう魔法なのならーー楽しいと思える魔法に変えたいなって思う。


ネガティブな物は、ポジティブでしか薄まらないから……だから僕はこの数学科に入ったんだ。



数学は苦手だけど好きだから。



数学で人を幸せに出来る魔法だって伝えたいし、傷つけるためにあるんじゃないって思うから」




その瞬間、俺の中で何かが崩れた。




俺は………自分の為利益の為に数学を学んできたのだがーーーコイツは違うんだ。



金のために数学を学んで、こんなしっかり者の勇斗を良く考えられてない、馬鹿な野郎だと馬鹿にしてた。




それこそ、ソクラテス団と同じ人間になっていたのではなかろうか?



それを……止めるために、わざと教授は距離を離してくるているんだとしたら?



それだとしたら俺………。



「どうしたの?


辛いの?」




「ごめんなさい………。


教授………、そして勇斗」



自然と涙が溢れてきた。







涙を拭いて、やってきたのは






警察署。


教授と俺と勇斗は並んで、署長を待っていたのだがーーー来なかった。



「忙しんでしょうね」



「大変なんだね、署長さん」



「ちょっと三方いいですか?」



声をかけてきたのは、担当していたという警察官。



私服警察というのだろうが、でっぷりしてるから大丈夫なのかと心配なのだが………。




「この前ですね、被害者のご遺体の検査をして結果が分かったんです。


それがですね、36箇所身体のあちこちに刺されていたとのことで」



「さ………36箇所!?」




「それって刃物ー?」




コクリと警察官。



「となると、犯人は相当な恨みを持つ人物でなければならない」




「だとしたら………あの人しか……」



「だが、証拠がないーー実に不愉快だな。


この事件は」




まだまだ事件の詳細を調べないといけないみたいで。