「その本部長から俺達が、事情聴取をまず手伝ってほしいというんですね?」
「とっても怖いところだね……咲教授」
「大丈夫だ。
君は、いざとなったら僕と彼を捨ててすぐに逃げなさい。
僕達が足止めしておくから」
「何で俺が、巻き添え食らってるんですか!!」
それにしても、不気味な所に住んでいる事情聴取をする人物だ。
この場所は、大きな山奥に住む一軒家。
本部長が「この人物は嘗てピリオド団の副部長だった。
彼に話を聞いたら、何か分かるかもしれない」
って話していたけど。
こんな薄暗い、場所で黴臭い一軒家に住んでいるとは。
どんな精神状態なのだろう。
この当事者は。
「だから、僕は行きたくなかったんだがね」
暫く探索し眺めるように、咲教授は言った。
後ろでは、事情聴取ということを忘れている勇斗。
紫陽花にスマホを翳してる。
「普通、体を鍛えている人間が我々理系人間に助けをこう際だ。
明らかな威圧的な態度を取って、見下す筈だ」
「何で、そう言えるんですか?
逆に精神が鍛えられているからこそですよ。
あんな誠実だったはずでは?」
「誠実な人間?
そんな人間が一般市民を巻き込んで推理などするわけ無いだろ。
それなのに、彼は何の疑いもせずにやってきた。
ここの推理クラブは、許可を得た探偵資格も持っていないのに。
それにもかかわらず、のこのこやってくる。
それというのは。
裏があるに決まってる」
確かに言われてみれば、おかしいっちゃおかしい。
誠実な刑事だったとすればだ。
俺達みたいな一般市民を巻き込むはずがない。
「じゃあ、何故?
危険とわかっていながらですよ?
何故勇斗でさえも巻き込んだんですか?
勇斗だって危ないじゃないですか?」
「あの真剣な様子な勇斗くんだ。
僕が断れば、彼は黙っていたと思うか?」
ーーー思わない。
あの馬鹿は、純粋だ。
きっと一人で突っ込んでだ。
取り返しがつかなくなるに決まってる。
「それでは行こうか。
十分見たからな。
ほら、勇斗くん。
時間だよ」
仕方なく、勇斗を引き連れて俺達は足を踏み入れた。
ピンポンとチャイムを鳴らす。
ガチャリと扉が開いた。
「うわぁ~、魔法道具がいっぱーい!!
どんな仕事をしてる人なんです?」
目の前に現れた、白毛ジャラの男を見て思わず。
そう、喋ってしまった勇斗。
俺はパシリと勇斗の頭を叩いたが、咲教授に叩き返された。(なんでだよ!?)
「こんにちは。
僕はこうゆうものだ。
捜査をしている。
お話を伺いたい」
本部長の警察手帳を見せた咲教授。
その警察手帳の中身は見せない。
何故なら、本部長のものだからだ。
「……来ると思ったよ。
だが、俺は何もしてない。
その証拠に入ってくれ。
全て話してやろう」
早速茶菓子を出されて、畳に座らされる。
勇斗は茶菓子を物欲しそうに眺めており、それを見た老人は呆れ。
その様子を見かねた、咲教授。
さっと彼の前に茶菓子を出し笑顔を向け「食べちゃダメだ。
一応な」
と中央に置く。
「何も入ってないよ。
お茶も飲みたければ飲んだら?」
「その証拠は?」
素早く目にも止まらず早さで、どら焼きミニお菓子を混ぜた教授。
ため息をついた老人に一本取らせて、食べさせた時。
「良かろう。
食べていいよ。
勇斗くん」
「やったー!!
いただきます!!」
唖然とする俺を目の前に、咲教授が俺に合図を出した。
絶対にさっきのやり取りはーー。
勇斗を安全にお菓子を食べさせるためだと確信し睨みながら。
「えっと、副団長の楓様ですよね?
事件当事は何をしてらっしゃったんですか?」
「俺は町内会の会議に出席していたよ」
「えー、魔法使い………いて!!」
勇斗黙って蹴ったら、咲教授ーー俺の耳をつねる。
「えっと……その証拠は?」
「町内会の本庁に聞けば分かる」
「わかりました。
次の質問です。
椎名さんを知っていますか?」
「知っているとも。
あの殺された、ピリオド信者であろう?」
「その椎名さんの情報を、知っている限り教えてほしいのですが」
「どこまで話せばいいのか、分からないがな」
ーーどこまで話せばいいのか、分からないーーー
その言葉は、一体何をしたというのかという怖さも生み出すが。
「椎名は、「運命の黒猫」の飼育係だったんじゃ。
男性初のな」
「「運命の黒猫の飼育係」ーーーですか。
男性初のとは、どうゆう意味ですか?」
「教授、アンタは知っとるだろ?
この生徒さんに教えなかったのかい?」
ビクッと体が疼いた。
そうだ……そうだよ。
この人は、いくらパチモンでも数学を宗教団体としてる副団長だ。
頭が悪いわけない。
ふと、横を見る。
勇斗はどら焼きをむしゃむしゃと食べている。
一応何もないが……。
「どうして、教授の事を?」
「ソクラテス団に嫌われていたことは有名だったからな。
風の噂で風貌も、聞いていた。
この咲教授がやってくる可能性があると。
ソクラテス団に嫌々ながら言われた」
「じゃあ、ソクラテス団と何かあったんですか!?
あの数学犯罪組織、ソクラテス団と!?
教授、やっぱり繋がってるんじゃないですか!!」
「この教授から話を聞いてないのか?
数学教団ピリオドはなソクラテス団に嫌われてた。
ソクラテス団に忠告された理由はだな。
こちらの不祥事を煙たがっていたから。
変な噂が立ち込めて、関わり合いを持ちたくないんだよ。
あとピリオドは変な宗教団体だったけど、変な事はしてないよ。
殺人、監禁、拉致まではね」
勧誘とかはしてたってことなんだろうか……。
どちらにせよ、身を引き締めて行動しなければヤバいかも。
「僕は今は話したくない。
パスだ。
質問を続けたまえ」
「えっと……うぉっほん!!
えー……、「運命の黒猫係」というのは具体的にどんな事を?」
「教団の神ともいえる「黒猫√4」を飼育する係だ。
とは言っても、ただの黒猫だがね。
教祖様は、どうにも運命だとほざいていたが。
その黒猫を飼育すると、大変素晴らしいことが起きる」
「素晴らしい事って、魔法!?」
チラリと睨む、老人。
それを冷徹な目で睨み返す、咲教授。
「魔法ーーとまではいかない。
その飼育係にくじ引きで任命されたらだな。
家族を養ってもらえる約束を教祖からしてもらえるんだ」
「つまり、教団のお金がその飼育係をしている家族の元に?
流れるってことですか?」
「そうゆうことだな。
それはそれは、ものすごい額だったと言われている。
ちなみに、飼育係は一人だけ。
だから、椎名は恨まれていたんだと思う」
「それって………」
「おそらくは、教団の中の誰かだろうな。
僕がそう思うよ」
「どうして、そう思う?
そんな巨大な金を持つ宗教団体は外からも恨まれるであろう?」
「恨むどころか、警戒されるのでは?
君達は数学を成り合いに成立している宗教団体だ。
数学を学んでいるということは、少なからず頭がいいと認知される。
普通人間は。
頭の良い人間と認知されると、敵に回したくないと思うはず。
知恵が回るというのは武器の使い方が上手いから。
だから、周囲の人間がそんな集団の人間達を襲いたくない。
と思うのは周知の事実だよ。」
その説明を妙に納得してしまって。
何も言えなくなってしまった俺。
「それで、椎名さんはどうなったのー?」
「え……あぁ。
椎名はな、若干やはり宗教団体の信者に恨まれていたと思う。
実は、ここだけの話だが椎名は俺がやめる直前に。
姿を消したんだよ。
その黒猫、「√4」と共にね」
「その後、どこに行ったんですか?
椎名は……死亡する前は……」
「さぁ、知らん。
それは、アイツだけしか知らないだろう」
もう話すことは何もなさそうだと。
教授が合図を出した。
俺達はお礼を言い、すぐさま引き返す。
「勇斗、お前お菓子食べすぎだ」
「良い食べっぷりだったよ。
勇斗くん。
君を連れてきてよかった」
ーーーどこがだ!!
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