私と同じように蓮の思惑に気づいたのか、成瀬さんが困惑顔で蓮の首根っこを掴み、ステージ中央へ連れ戻す。
まるでコントのような仕草は、ファンにはただの余興に見えているだろう。
「気が済んだか?」
「あぁ。ここは完全なるアウェイだ。……でも、ライバルとしては不足無しだな!」
蓮は不敵に笑う。
メンバーがやれやれといった様子で蓮を舞台袖へ追いやると、会場から笑いと拍手が沸き起こった。
私はというと、心臓がバクバクして拍手どころではない。
(蓮ってば、なんてことをさせるの!? みんなの前で……。成瀬さんも困ってたじゃない!)
恥ずかしさで顔が熱くなる。
でも、少し嬉しくもあった。
きっと、これも蓮なりのファンサービス。私のことを応援してくれているのだと思う。
それでも、やっぱり恥ずかしい。きっと頬は真っ赤だろう。
深く息を吐いて気持ちを落ち着かせ、ステージを見る。
すると、成瀬さんがこちらを見て優しく微笑んでいた。
唇が「ありがとう」と動いたように見える。
気のせいかもしれない。
でも、本当にそう言ってくれたのなら、それだけで十分だった。
ライブは後半戦へ。
成瀬さんのソロパートでは、一際大きな歓声が上がる。
まっすぐで力強く、それでいて優しい歌声が胸に響いた。涙がまたこぼれそうになる。
この人を、ずっと見ていたい。
彼がこれからも夢に向かって進めますように。
その道が、光に満ちたものでありますように。
祈るように手を合わせながら、私はステージを見つめた。
ライブが終わりへ近づいても、胸の熱は冷めるどころか、ますます強くなっていく。
私は、これからも成瀬さんを推し続ける。
誰よりも熱く、誰よりも真剣に。
いつかまた、あの言葉をもらえる日まで。
仕切り壁の向こう側で。時にはこうして近くで見守りながら。
いつも、精一杯推し事に励もう。
だって、それが私が届けられる、一番の愛のかたちだから。
〜fin〜
★☆★☆★☆
『推しと清く正しい逢瀬(デート)生活 ーこっそり、隣人推しちゃいますー』を最後までお読みくださりありがとうございます。
これにて本編は完結です。
……ですが、次ページより前日譚の短編をお届けします。
短編を読むと、きっと千紘×成瀬の出会いをもう一度見たくなるはず。
是非もう少しだけお付き合いくださいませませ。
まるでコントのような仕草は、ファンにはただの余興に見えているだろう。
「気が済んだか?」
「あぁ。ここは完全なるアウェイだ。……でも、ライバルとしては不足無しだな!」
蓮は不敵に笑う。
メンバーがやれやれといった様子で蓮を舞台袖へ追いやると、会場から笑いと拍手が沸き起こった。
私はというと、心臓がバクバクして拍手どころではない。
(蓮ってば、なんてことをさせるの!? みんなの前で……。成瀬さんも困ってたじゃない!)
恥ずかしさで顔が熱くなる。
でも、少し嬉しくもあった。
きっと、これも蓮なりのファンサービス。私のことを応援してくれているのだと思う。
それでも、やっぱり恥ずかしい。きっと頬は真っ赤だろう。
深く息を吐いて気持ちを落ち着かせ、ステージを見る。
すると、成瀬さんがこちらを見て優しく微笑んでいた。
唇が「ありがとう」と動いたように見える。
気のせいかもしれない。
でも、本当にそう言ってくれたのなら、それだけで十分だった。
ライブは後半戦へ。
成瀬さんのソロパートでは、一際大きな歓声が上がる。
まっすぐで力強く、それでいて優しい歌声が胸に響いた。涙がまたこぼれそうになる。
この人を、ずっと見ていたい。
彼がこれからも夢に向かって進めますように。
その道が、光に満ちたものでありますように。
祈るように手を合わせながら、私はステージを見つめた。
ライブが終わりへ近づいても、胸の熱は冷めるどころか、ますます強くなっていく。
私は、これからも成瀬さんを推し続ける。
誰よりも熱く、誰よりも真剣に。
いつかまた、あの言葉をもらえる日まで。
仕切り壁の向こう側で。時にはこうして近くで見守りながら。
いつも、精一杯推し事に励もう。
だって、それが私が届けられる、一番の愛のかたちだから。
〜fin〜
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『推しと清く正しい逢瀬(デート)生活 ーこっそり、隣人推しちゃいますー』を最後までお読みくださりありがとうございます。
これにて本編は完結です。
……ですが、次ページより前日譚の短編をお届けします。
短編を読むと、きっと千紘×成瀬の出会いをもう一度見たくなるはず。
是非もう少しだけお付き合いくださいませませ。

