「妙なテンションだけど大丈夫? もしかして酔ってる?」
相変わらず整った顔がすぐ近くにある。遠くに行ってしまったと思っていた人が、今、目の前にいる。
その事実に気持ちが昂り、もう自分でも止められそうにない。
私は離れてしまわないよう、成瀬さんのシャツの袖口をぎゅっと握った。
「麦茶で酔ったりしません!」
そう言いながら、駄々っ子のように袖を離さない。
成瀬さんは困ったように私を見る。
「相変わらず麦茶なんだ。……でも、その割に今日の石川さん、ちょっと……変、だよ」
言いにくそうに濁す成瀬さんの袖を、さらに強く握る。
……だって、離したくない。
私は彼の目を見つめ、小さく首を振った。
「変じゃない。推しが目の前にいるんだから、テンションだって上がります。……それに、久しぶりに会えたんだから……」
最後は呟くように言った。
成瀬さんは目を見開き、空いている手で顔を覆う。ふぅ、と深く息を吐いた。
しばらくそのまま固まっていたけれど、やがて意を決したように顔を上げる。袖口はまだ私に掴まれたままだった。
「俺、グループでデビューしたんだ」
「……知ってる」
「最終選考が終わってから、生活が激変してさ。寝る間もないくらい」
「だろうね。いつもどこかで成瀬さんを見るもん。私の推し、大活躍」
ニヤリと笑うと、成瀬さんも少し照れくさそうに笑った。
そして一度深呼吸してから、私を真っ直ぐ見つめる。
「石川さんに応援してって言っておきながら、直接報告できずにいたことがずっと気になってたんだ」
その目は、とても優しかった。
画面の中の成瀬陽一じゃない。私だけが知る、ベランダの成瀬さんがそこにいた。
袖口を掴んでいた手から、自然と力が抜ける。解放された袖には、少し皺が残っていた。
成瀬さんはそっと私の頭に手を置き、優しくポンポンと撫でる。
「えっ? なに?」
突然のことに声を上げる私を、成瀬さんはさらに優しく撫でた。
相変わらず整った顔がすぐ近くにある。遠くに行ってしまったと思っていた人が、今、目の前にいる。
その事実に気持ちが昂り、もう自分でも止められそうにない。
私は離れてしまわないよう、成瀬さんのシャツの袖口をぎゅっと握った。
「麦茶で酔ったりしません!」
そう言いながら、駄々っ子のように袖を離さない。
成瀬さんは困ったように私を見る。
「相変わらず麦茶なんだ。……でも、その割に今日の石川さん、ちょっと……変、だよ」
言いにくそうに濁す成瀬さんの袖を、さらに強く握る。
……だって、離したくない。
私は彼の目を見つめ、小さく首を振った。
「変じゃない。推しが目の前にいるんだから、テンションだって上がります。……それに、久しぶりに会えたんだから……」
最後は呟くように言った。
成瀬さんは目を見開き、空いている手で顔を覆う。ふぅ、と深く息を吐いた。
しばらくそのまま固まっていたけれど、やがて意を決したように顔を上げる。袖口はまだ私に掴まれたままだった。
「俺、グループでデビューしたんだ」
「……知ってる」
「最終選考が終わってから、生活が激変してさ。寝る間もないくらい」
「だろうね。いつもどこかで成瀬さんを見るもん。私の推し、大活躍」
ニヤリと笑うと、成瀬さんも少し照れくさそうに笑った。
そして一度深呼吸してから、私を真っ直ぐ見つめる。
「石川さんに応援してって言っておきながら、直接報告できずにいたことがずっと気になってたんだ」
その目は、とても優しかった。
画面の中の成瀬陽一じゃない。私だけが知る、ベランダの成瀬さんがそこにいた。
袖口を掴んでいた手から、自然と力が抜ける。解放された袖には、少し皺が残っていた。
成瀬さんはそっと私の頭に手を置き、優しくポンポンと撫でる。
「えっ? なに?」
突然のことに声を上げる私を、成瀬さんはさらに優しく撫でた。

