誰かの言葉に便乗はしたくない。
だけど、私も同意見だった。
二人が並んでアイドルスマイルを向ける雑誌記事を、私はもう何度読み返しただろう。
読むたび幸せな気持ちになるのに、同時に胸がチクリと痛む。蓋をしたはずの想いが、少しだけ顔をのぞかせる。
……一気に遠い人になっちゃったな。
今日も私は雑誌をお供に、ベランダでチビチビ麦茶を飲んでいる。
初めてのベランダ飲み会から、もうすぐ一年。
なのに、お隣さんは今日も留守だ。
静まり返った隣室は、もう誰も住んでいないのではと思うほど無音だった。
本当に、私の知らないうちに引っ越してしまったのかもしれない。
ファンが隣人だと事務所が難色を示した可能性だってある。
アイドルなら、セキュリティの整った部屋へ引っ越していても不思議ではない。
そう考えるたび胸が締め付けられる。でも気づかないふりをして、今日も一人でベランダ飲み会。
グラスから麦茶の雫がポタリと落ちた。
ベランダ飲みって、こんなにつまらなかったっけ?
手摺りにもたれ、盛大にため息をつく。
最近はScorpioも成瀬さんのグループもものすごい稼動量で、ヲタクの私も忙しい。精力的に推し事をしているのに、どうして気持ちは晴れないのだろう。
……成瀬さんに会いたいな。
ふと浮かんだ思いに、私は慌てて首を振った。
彼はもう、気軽に会える相手ではない。
推しは遠くから見守るもの。
そう自分に言い聞かせ、グラスの麦茶を飲み干した。
そのとき、スマホが短い通知音を鳴らした。
画面を見れば、公式からのお知らせ。
『ついにグループ名が決定!』
そんな一文とともに届いた動画を再生すると、笑顔全開の成瀬さんたちが画面に現れた。
成瀬さんは相変わらず爽やかな笑顔で、まずは自分たちの動画チャンネルが開設されたことを報告する。
「記念すべき一回目の配信に合わせて、ようやく俺たちのグループ名が決定しました~」
進行役の成瀬さんに、他のメンバーから「いや、遅いだろ」と次々ツッコミが飛ぶ。
「まぁ、俺たちは突然のグループ結成となったので、大人の事情が色々とあったのですよ。ここでは何とはあえて言いませんが」
だけど、私も同意見だった。
二人が並んでアイドルスマイルを向ける雑誌記事を、私はもう何度読み返しただろう。
読むたび幸せな気持ちになるのに、同時に胸がチクリと痛む。蓋をしたはずの想いが、少しだけ顔をのぞかせる。
……一気に遠い人になっちゃったな。
今日も私は雑誌をお供に、ベランダでチビチビ麦茶を飲んでいる。
初めてのベランダ飲み会から、もうすぐ一年。
なのに、お隣さんは今日も留守だ。
静まり返った隣室は、もう誰も住んでいないのではと思うほど無音だった。
本当に、私の知らないうちに引っ越してしまったのかもしれない。
ファンが隣人だと事務所が難色を示した可能性だってある。
アイドルなら、セキュリティの整った部屋へ引っ越していても不思議ではない。
そう考えるたび胸が締め付けられる。でも気づかないふりをして、今日も一人でベランダ飲み会。
グラスから麦茶の雫がポタリと落ちた。
ベランダ飲みって、こんなにつまらなかったっけ?
手摺りにもたれ、盛大にため息をつく。
最近はScorpioも成瀬さんのグループもものすごい稼動量で、ヲタクの私も忙しい。精力的に推し事をしているのに、どうして気持ちは晴れないのだろう。
……成瀬さんに会いたいな。
ふと浮かんだ思いに、私は慌てて首を振った。
彼はもう、気軽に会える相手ではない。
推しは遠くから見守るもの。
そう自分に言い聞かせ、グラスの麦茶を飲み干した。
そのとき、スマホが短い通知音を鳴らした。
画面を見れば、公式からのお知らせ。
『ついにグループ名が決定!』
そんな一文とともに届いた動画を再生すると、笑顔全開の成瀬さんたちが画面に現れた。
成瀬さんは相変わらず爽やかな笑顔で、まずは自分たちの動画チャンネルが開設されたことを報告する。
「記念すべき一回目の配信に合わせて、ようやく俺たちのグループ名が決定しました~」
進行役の成瀬さんに、他のメンバーから「いや、遅いだろ」と次々ツッコミが飛ぶ。
「まぁ、俺たちは突然のグループ結成となったので、大人の事情が色々とあったのですよ。ここでは何とはあえて言いませんが」

