「ねぇイシュ。契約結婚ってどう思う?」
「え? 契約……何?」
「契約結婚よ。三年間の期間限定の。しかも、白い結婚でいいんですって」
「はっ? いや、ちょっと待ってフィア。一体何の話? 順を追って説明してくれないか」
その頃、イシュはここら一帯の国を叔父や従兄弟たちに任せ、自身は帝国に渡る準備をしている真っ最中だった。
毎日仕事に追われ大変忙しそうだったが、アポなし訪問をしたソフィアを、イシュは快く迎えいれてくれた。
そんなイシュに、ソフィアは契約結婚と、その後の身の置き所の相談をしたのだ。
「契約結婚で大金を手に入れられそうなの。そのお金で帝国に移住して……できたら、自分のお店を持てたらって……。あなたなら応援してくれるでしょう? イシュ」
「――!」
それを聞いたイシュは、流石に驚きを隠せない様子だった。
けれど、すぐにソフィアの意向を汲み、色々と協力してくれた。
レイモンドと交わす契約書の内容を精査し、もともとは契約満了時に一括支払いだったはずの報酬を月々分割で受け取るよう助言したり、ソフィアがレイモンドから受け取る報酬の財産管理を一手に引き受けた。
今ではソフィアの財産は、イシュの手によって三倍もの金額に膨れ上がっている。贅沢をしなければ、一生働かなくとも食べていけるほどの金額だ。



