「……どうして、ですか」
「? 何がだ」
「どうして、ここまでしてくださるのですか? わたしは、旦那様の気持ちを受け入れなかったのに。それどころか、いただいた宝石を全て返そうとしたのですよ?」
ソフィアには、自分が酷いことをしている自覚があった。
想いの詰まったプレゼントを突き返される、それがどれほど悲しいことか理解していた。
たとえ自分が宝石を受け取っても、レイモンドが気持ちを無理強いしてくるようなことはないと知っていた。
それでも宝石を返そうとしたのは、レイモンドに未練を抱かせない為でもあったけれど、本当のところは、受け取るのが怖かったからだ。
恋愛感情を抜きにしても、レイモンドの優しさに、心を動かされるのが怖かったから。
ほんの少しでも、この場所に未練を残すのが嫌だったから。
一度愛情を手にしてしまったら、きっと手放したくなくなってしまう。そうなるのを、恐れたから――。
「なのに……」
けれど、俯くソフィアに、レイモンドは平然と言いきるのだ。
「そんなの、君の喜ぶ顔が見たいからに決まっているだろう」――と。



