ガタン、ゴトンと、車輪の音が石畳に響く。
チャリティーから二日が過ぎた日の正午過ぎ、ソフィアはレイモンドとふたり、馬車に揺られていた。孤児院へ慰問に向かうためだ。
(プレゼントは多めに用意したし、アリスたちと皆で焼いたお菓子も十分にある。演劇は旦那様が手配してくださっているから……あと心配なのは、子どもたちが旦那様を怖がらないかだけね)
ソフィアは、向かいに座るレイモンドに視線を向けた。
レイモンドは女性好みのする端正な顔立ちをしているし、愛想も悪くはないが、鍛え抜かれた分厚い体躯と、180cmを優に超える身長は、子どもたちには威圧的に映るかもしれない。
(そう言えば、旦那様が子どもと話しているところは見たことないわね。もしかして、子どもが苦手だったりするのかしら? だとしたら、すごい今さらだけど、わたし、選択を間違えた可能性も……)
不意にそんなことを考えて、ソフィアは小さく息を吐いた。
(間違いだなんて、何を考えてるの。そもそも、断られると思って提案したのだから、こんなことを考えること自体がおかしいわ)



