レイモンドにエスコートされながら、ソフィアがチャリティー会場の庭園に足を踏み入れると、会場は既に多くの来客で賑わっていた。
庭園の奥に簡易の舞台がしつらえられ、中央には三十を超えるテーブルと椅子が並んでいる。それを挟んで、左右に長く伸びる長机には軽食がズラリと並び、もはやパーティー会場のようだ。
ソフィアが会場全体を見渡すと、見知った貴族や夫人とその子供たち。また、会場の端のテーブルには、首都の軍部に務める将官たちの姿も混じっていることがわかる。
(盛況ね。流石、ブルックリン伯爵夫人だわ)
ブルックリン伯爵は慈善家で有名だが、その評判を押し上げているのは紛れもなく、妻である夫人だ。
夫の価値は、妻の社交の仕方次第でいくらでも変わってくる。それは同時に、妻自身の評価を引き上げることにも繋がる。
――が、ソフィアは、夫人がそのような利己的な感情で動く人間ではないと知っていた。
夫人は、夫である伯爵を愛しているのだ。それが彼女の動力源であることを、ソフィアは尊敬しつつも、心のどこかで羨ましく思っていた。
(本当に愛し合うふたりって素敵よね。受け取ったプレゼントを突き返そうとした自分とは、大違いだわ……)



