その日の午後、レイモンドはソフィアとふたり、馬車に揺られていた。
チャリティー会場の、ブルックリン伯爵の屋敷に向かうためだ。
今日の催しは、地方のアマチュア劇団を招いての、芝居の慈善公演である。
堅苦しい夜会や舞踏会とは違い、庭園を開放して行うガーデンパーティー形式の気軽な集まりで、招待状がなくとも立ち寄ることができる。
軽食や紅茶を片手に芝居を楽しみ、その場で寄付を募るのが趣旨だ。
石畳を踏みしめる車輪の音が、午後の日差しとともにゆったりと響く。
レイモンドは、窓の向こうに流れる街並みを眺めながら、エミリオの言葉を思い出していた。



