「エミリオ、お前、どうやって辿り着いたんだ」
「箱だよ」
「……箱?」
「覚えてないか? 伯爵家が各地の孤児院に送っていた支援物資の箱。それが、俺たちが押収した火薬のケースと、寸分違わず同じ規格だったんだ。奴は違法物資を慈善事業の荷物に見せかけて流していたのさ。孤児院の子供たちに配るパンに、火薬の匂いが混じってるなんて、洒落にならないだろ?」
「……お前、それを一人で追っていたのか。なぜ俺に言わなかった」
「だってお前、それどころじゃなかっただろう? ……そんなことより、レイモンド」
エミリオはレイモンドから半歩離れると、レイモンドとソフィアの顔を、交互に見つめた。
三週間前、今にも死にそうな顔で「ソフィアが連れ去られる」と絶望していた親友。その隣で、穏やかな笑みを浮かべている夫人の姿。
「……今日の昼間、港でイシュ・ヴァーレン卿を見たが……彼とは話せたのか? それに、お前と夫人の雰囲気……もしかして……」
「……っ」
レイモンドの頬が、みるみるうちに赤く染まる。
それを見て、エミリオは全てを察したのだろう。にんまりとからかうような笑みを浮かべると、レイモンドの肩をバシバシと叩いた。
「ははは! なんだ、やっぱりそういうことか! いやー、良かったな、レイモンド! これで俺も肩の荷が下りたよ!」
「エミリオ! 馬鹿、黙れ! こんな場所で大声を出すな――!」
怒鳴るレイモンドの横で、ソフィアはわけがわからず、きょとんとしている。
「あの……旦那様? それに、エミリオ様も……」
「いやあ、すみませんね、夫人。勝手に盛り上がってしまって。どうやら俺は邪魔者なようなので、これで退散しますよ。では、またいつか!」
「……っ、エミリオ!」



