この二週間の間、レイモンドとソフィアはこれまでの空白を埋めるように、真の意味で心を通わせてきた。
寝室を共にし、夜更けまで互いの幼少期の思い出を語り合う。その幸せに嘘はない。
それでも、レイモンドはイシュの件だけは聞けずにいた。
ソフィアがイシュを無二の友人として信頼しているからこそ、もしこの男が彼女に重大な隠し事をしていたと知れば、彼女が傷つくのではないかと恐れたのだ。
だが、イシュはその問いに動じることもなく、むしろ愉快そうに口角を上げた。
「はは、なんだ、そんなことか。……彼女に直接聞いてみたらどう? 君たちは真の夫婦になったのだから、何でも話せる仲にならないと。……そうだろう?」
「――っ」
レイモンドが答えに窮する間に、イシュは軽やかに馬車の中へと消え、窓から優雅に手を振った。
「それじゃあね、皆! 海の向こうから、君たちの幸せを祈っているよ!」
「イシュ、元気でね! 二年後、必ずお店を見にきて!」
ソフィアの透き通った声が、遠ざかる馬車の轍を追いかけていく。
レイモンドは立ち尽くしたまま、イシュを乗せた馬車を、苦々しく見送るしかなかった。



