その問いに、オスカーはカップをソーサーに戻し、深く息を吸い込んだ。
「……実は昨日、荷物を取りに領地の屋敷へ寄ったんだ。そこで偶然、母さんと兄さんの会話を聞いてな」
オスカーの声は、いつになく低い。
ソフィアは不安を覚えながら、話に耳を傾ける。
「母さんが兄さんに言ってたんだ。〝お前を屋敷に連れてこい〟って」
「!」
「母さんはどうやら、お前がウィンダム侯と離縁するつもりだと踏んでいるようだった。それだけじゃない。離縁したあと、お前がイシュと共に帝国に行くつもりなのではと――そう言っていた」
「……なっ」
ソフィアは息を呑んだ。オスカーの口から飛び出した、兄と母親の名。そして、母親の予期せぬ言葉に、さぁっと全身の血の気が引いていく。
(どうして、お母様が離縁のことを知っているの? イシュとのことだって……)
イシュとの関係は誰にも話していないはずだ。少なくとも、ビジネスパートナーであることを知るのは、自分とアリス、そして、イシュ本人――あとはレイモンドに話しただけ。
実家とイシュはもともと顧客と商売人の関係なので、イシュのことを知っているのは当然だが、自分とイシュが友人であることは知らないはず。
それに、レイモンドとは円満な夫婦を演じ続けてきたのに。
「どうして、そんな話に……」
「俺にもわからない。でも、母さんは言っていた。『三年経っても子供ができないのだから、夫婦仲が冷え切っているのは明白だ』と。……ソフィ、お前、本当にウィンダム侯とうまくいっていないのか? イシュとお前は、いったいどういう関係だ? もしかして、深い仲だったのか?」
「――っ」



